2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ環境史の復元手法による北極圏における温暖化の先住民社会への影響分析
Project/Area Number |
22310148
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高倉 浩樹 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (00305400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 亮 立教女学院短期大学, 英語科, 専任講師 (80466515)
奥村 誠 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00194514)
渡邉 学 東北大学, 東北アジア研究センター, 専門研究員 (10371147)
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Keywords | 北極圏 / 雪氷環境適応文化 / 先住民 / リモートセンシング / 雪氷工学 / 河川工学 / 在来知 / 温暖化 |
Research Abstract |
初年度の目的は、(1)衛星データ収集のスケール・時期・方法の確定と人類学調査の関係づけ、(2)文献による準備研究、(3)予備的フィールドワークの実施といった課題を通して、研究体制の確立と予備的研究の実施であった。その成果は、(1)シベリア・レナ川流域の春の雪氷融解洪水の衛星画像収集方法について確立した。洪水の発生の場所と時間については、現地新聞の洪水記事から特定値を入手して探索することが効果的方法であることがわかった。しかし地域社会レベルの実態を衛星画像分析する場合は、現地新聞からの時空情報を元にしても、観測頻度の高いランドサットですら洪水の検出確率は23%程度だった。これに代わって数値標高モデル(DEM)を用いた浸水域の推定を行ったところ、浸水域の変化を面的に捉えることが有効であることが判明した。この分析結果は、地域社会の人類学調査と対応させること可能であることを明らかにした。(2)北極圏について多くの関連文献がでており、それらを収集分析し、地域情報を充実させると共に、また温暖化の人類学についての理論的考察を行った。(3)予備的な現地調査は、人類学分野は5月にシベリア・レナ川中流域(別予算)、3月にアラスカで実施した。それらを通して、洪水や海岸浸食に関わる在来知・被災実態についての行動・語彙データについて収集し、地域社会レベルで洪水がどのような災害なのかについての観念及び実態的な把握をおこなう方法を確立した。また土木計画学分野では、河川湖沼の凍結と融解の物理的メカニズムを明らかにするための国内予備調査(北海道・天塩川)を行った。その過程で国内での河川工学の専門家との共同調査体制を構築することができた。これらを通して、メンバー間の役割分担と相互研究協力体制を確立するとともに、2年目以降の本格的調査研究を実施する体制を整えた。
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Research Products
(4 results)