2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22320011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 秀一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80190586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴成 久章 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20294845)
大野 晃嗣 東北大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (50396412)
熊本 崇 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00153354)
渡辺 健哉 東北大学, 大学院・文学研究科, 専門研究員 (60419984)
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Keywords | 科挙 / 明代思想史 / 明代社会史 / 中国哲学 / 東洋史 |
Research Abstract |
本年度は、明代思想史と社会史、それぞれの専門分野について研究報告をおこなうとともに、関連する分野の専門家との学術交流をおこなった。 2011年8月4日開催の応用科挙史学研究会第四回ワークショップ「明清の科挙と官僚社会」では、三浦秀一が、各省の郷試考官に徴聘された「進士教職」をめぐりその歴史的変遷について述べ、8月11日開催の同第五回ワークショップ「明代科挙関連文献研究」では、渡辺健哉が、書坊での擧業書の出版傾向を明らかにすべく建陽の出版業者・劉氏の活動に光をあて、大野晃嗣が、明代会試の試験官に関する基礎的データを網羅的に紹介した。三浦も、明代科挙における程文代作の風潮と湛甘泉による「二業合一」論と関係性について推察をおこなった。これらの研究会は、発表者相互のレベル向上を目指したものであり、それぞれの報告はより充実したものとなり、各氏は、9月23日から25日まで中国武漢で開催された第八届科挙制与科挙学国際学術討論会と、11月、中国長沙で開催の書院文化的伝承与開拓において、それぞれの発表を中国語でおこなった。長沙での学会では、鶴成久章も天真書院の思想的活動について報告した。 2012年2月13日および14日開催の応用科挙史学研究会第九回・第十回研究集会は、明清両学の個別性と共通性を明確にすべく、四名のゲストスピーカを招待した。それぞれの論題と報告者は以下のとおりである。明清之際儒学研究心得(中央研究院・呂妙芬)、論戴震与章学誠(台湾大学・鄭吉雄)、明代朱子学与陽明学(北海道大学・佐藤錬太郎)、皖派成立攷(東北大学・尾崎順一郎)。また、三浦は「副榜挙人と進士教職-明代における地方学官と郷試考官の一特徴」(集刊東洋学106、2011年10月)と題する雑誌論文も発表し、明代の郷試における試験官制度と地方教官の相互的関連性を歴史的に検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
明代士人の思想ないし心性と当時の科挙制度との結びつきをめぐり、たとえば明代前半期における「副榜挙人」という身分に対する認識の形成および変化や、「挙業」と「徳業」との異同に対する明代中後期の多様な議論など、従来の研究では必ずしも明確化できていなかった事例を、科挙文敵を活用することで具体的に解明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画についてはとくに変更を要しないと判断する。これまでどおり、応用科挙史学研究会での活動を中心にしながら、科研メンバーが報告を積み重ね、また国内外の研究者と学術交流をもおこなうなか、それぞれの研究成果を雑誌論文等の形式で公表する予定である。そうした活動と並行して、関連の文献も調査、収集してゆきたい。
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Research Products
(10 results)