2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヴィクラマシーラ寺院の学僧の著作群における密教思想の位置づけに関する総合的研究
Project/Area Number |
22320014
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
久間 泰賢 三重大学, 人文学部, 准教授 (60324498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 和雄 高野山大学, 文学部, 助教 (00509523)
桜井 宗信 東北大学, 文学研究科, 教授 (30292171)
種村 隆元 二松學舎大學, 国際政治経済学部, 非常勤講師 (90401158)
宮崎 泉 京都大学, 文学研究科, 准教授 (40314166)
望月 海慧 身延山大学, 仏教学部, 教授 (70319094)
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Keywords | 後期インド仏教 / ヴィクラマシーラ寺院 / 密教 / 顕教 |
Research Abstract |
〈本研究の目的〉後期インド仏教における密教思想が、それ以外の仏教思想との関連においてどのように位置づけられていたかという問題を、特に10世紀以降のVikramasila寺院の学僧の著作群に焦点を絞って総合的に考察する。具体的目標は以下の3点である:(1)基礎作業として、当時のVikramasila寺院における仏教文献の存在・周知状況を調査し、同寺院に関わる顕密文献のデータベースを作成する。具体的には、同寺院の学僧の著作に引用される文献のリストアップと、同寺院に関わる記述を含む写本奥書を調査する。(2)同寺院の代表的学僧の著作群における「密教思想の位置づけ」について、各人が課題を立てて検討する。(3)「密教思想の位置づけ」をめぐる同寺院の「学統」について、(1)と(2)の成果を踏まえつつ考察する。 〈今年度の主な作業状況〉加納は、RahulaSankrtyayanaによるチベット伝来梵文写本の目録から奥書部分を抜粋してデータベース化を進めるとともに、チベット伝存写本とカトマンドゥ伝存写本の流通経路を解明するための作業に従事した。倉西は、Sridharaの著作Sahajalokapanjikaの校訂・英訳、RatnaraksitaのPadminiの第一章の校訂を進めた。種村は、Abhayakaraguptaの著作の引用データの採取とmandalaの語義解釈に関する思想的系譜の解明を行った。苫米地は、BhavyakirtiのPradipoddyotana複註序文に関して文献学的基礎作業を進めるとともに、Vikramasilaデータベース入力方式の設計を行った。宮崎は、11世紀にチベットにも伝わったアティシャの大乗仏教思想の解明の準備作業を行った。望月は、アティシャの密教関係の文献のうち『秘密集会タントラ』関係の文献とTara成就法に関する文献を取り上げ、そこに受容されるタントラ文献を調査した。 〈学会・海外出張・研究会など〉2010年7月15日~23日にHamburg大学で開催されたThird Intemational Workshop on Early Tantraの場で、研究代表者の久間が本研究の方向性に関する発表を行うとともに、同workshop期間中に国内外のメンバーで会合を開いた。また、国内研究会を2回開催した。第1回研究会(2010年11月20日、京都)では海外研究協力者のHarunaga Isaacson教授が、第2回研究会(2011年3月6日、名古屋)では種村が研究発表を行った。2011年2月には、加納・倉西・種村の3名が、Isaacson教授の協力も得て、カトマンドゥで写本調査を行った。
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Research Products
(14 results)