2010 Fiscal Year Annual Research Report
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22320021
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉浦 秀一 北海道大学, 大学院・メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (50196713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 吉二郎 北海道大学, 大学院・メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (40091516)
根村 亮 新潟工科大学, 工学部, 教授 (40242367)
下里 俊行 上越教育大学, 大学院・学校教育研究科, 教授 (80262393)
兎内 勇津流 北海道大学, スラブ研究センター, 准教授 (50271672)
貝澤 哉 早稲田大学, 大学院・文学学術院, 教授 (30247267)
北見 諭 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (00298118)
坂庭 敦史 早稲田大学, 大学院・文学学術院, 講師 (80329044)
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Keywords | ロシア / プラトニズム / フィラレート / チャアダーエフ / ソロヴィヨフ / ブルガーコフ / トルベツコーイ / ローセフ |
Research Abstract |
本年度の研究成果としては、19世紀前半における聖書協会および神学校改革における指導的なロシア正教聖職者フィラレートの政治活動の諸相、チャアダーエフの『哲学書簡』全体におけるプラトニズム的要素とプラトンへの両面価値的な態度が明らかにされた。また19世紀後半におけるソロヴィヨフの『善の弁明』における進歩観をトルストイ批判の文脈で理解することが重要であること、さらに20世紀ソ連末期における長司祭アレクサンドル・メーニのプラトン論およびイエス・キリスト論の独特の位置、またヨーロッパ思想史におけるカッシーラー、ハイデッガー、ブルーメンベルクらプラトニズムの位置づけ、同じく欧米の言語哲学におけるプラトニズムの位置づけが紹介され、ロシアにおける思想家との異同の解明という課題が指摘された。また今後の大きな研究課題として18世紀のラジーシチェフにおけるセンチメンタリズムの分析、20世紀初頭におけるブルガーコフの宗教的言語論におけるプラトニズムとの関連性、エヴゲーニイ・トルベツコーイにおけるプラトン論、トルストイ論、ソロヴィヨフ論の分析、アレクセイ・ローセフにおける経験とシンボルとの関係性の分析などが重要であることが示唆された。総じていえば、ヴァリツキの『ロシア思想史』で取り上げられている多くのロシア思想家たちのうちに西欧の思想家たちとは異なる独特のプラトニズム理解の諸要素を見いだすことができることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)