2010 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄の服飾および染織技術の非破壊的分析のデータ構築
Project/Area Number |
22320038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
片岡 淳 琉球大学, 教育学部, 教授 (30204415)
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Keywords | 琉球文化圏 / 古刺繍 / 絣 / 緞子 / 染料 / 技法 |
Research Abstract |
琉球文化圏に残る染織品のうち、本年度は古刺繍資料に焦点を当て調査した。本年度は沖縄本島本部町嘉津宇の仲村家の刺繍衣裳を中心に行なった。そこで、従来七子あるいは魚子織といわれていた二本引き揃え以上の糸で織られた平織物といわれた織物は、絹糸単糸の経を段染め絣にしたのち、4/16の割合で織られた締切絣といわれる、日本では室町時代にみられる絣技法と似ているが、すべて絣にしないところがたいへん珍しい。また刺繍については、研究協力者の活水女子大学の寺田貴子博士に担当してもらった。すると琉球千鳥繍い、本綾織繍いと仮称する段階ではあるが、中国的でもなく、日本刺繍でもない刺し方であることがわかった。また、仕立てについては、琉服といわれる大袖衣は第二尚氏の時代よりもさらに遡ることができ、15世紀にはすでにこの形ができていたことを裏付けると同じく研究協力者の植木ちか子氏は確認した。二人は現在沖縄県立博物館・美術館の常設展示である伊平屋のあんがなし刺繍大袖衣裳を復元した研究者である。伊是名島の名嘉家,沖永良部島の森家にのこる刺繍衣裳、さらに久米島自然文化センターに寄託されている刺繍衣裳ほかを比較検討することで、琉球文化圏の刺繍が,沖縄で行なわれていたのか,またその刺繍を他と比較することでその特徴をさらに明らかにしていく。刺繍生地についても、那覇市歴史博物館に国宝に指定された刺繍衣裳は一越縮緬の片面染めであることがわかり、色糊染めであることを確認できた。この外,染色技法や染料については、分光測色計CM-700dとJasco660で計測をし、より多くのデータを集めて、今後成果を発表したい。平成22年度の成果を中心に本大学や本部町の教育委員会などと調整をして、広くその成果を市民に公開し,文化財保護と理解を深めていく計画をしているところである。所蔵者の都合や本務や協力者との調整のため、予定の通りの地域での調査は行われなかったが,本研究テーマにそれることは無く,新たに刺繍の復元をすることで、寺田は前田文庫に州浜文様はないが、同様の刺繍資料を発見し今後さらに研究を深める資料が見つかった。今後,模様やそこに現れる世界観などについても調査していく。もちろん、染められた染料のデータの構築と特定に付いて、さらに資料の分析を継続していく。染料や顔料の分析に付いてはかなりの資料のデータをとらなければならない。というのは、資料の退色がかなりまばらであり,このことについてどのように判断していくか検討しながら、進めていきたい。
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Research Products
(4 results)