2010 Fiscal Year Annual Research Report
構造主義の残滓としての英国批評の国際的再検討-ラスキンからウィリアムズまで
Project/Area Number |
22320060
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
川端 康雄 日本女子大学, 文学部, 教授 (80214683)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 不比人 成蹊大学, 文学部, 教授 (30248992)
大貫 隆史 関西学院大学, 商学部, 准教授 (40404800)
河野 真太郎 一橋大学, 商学研究科, 講師 (30411101)
鈴木 英明 山脇学園短期大学, 英語科, 准教授 (70299965)
|
Keywords | レイモンド・ウィリアムズ / ジョン・ラスキン / ウィリアム・モリス / オスカー・ワイルド / ウェールズ / 英国批評 / モダニズム / ユートピア |
Research Abstract |
本研究課題は、文学批評における<残滓的なもの>に着目することによる、新たな展開の模索するものであり、この目的を達成するために、英国の批評家・作家であるRaymond Williamsを重要な参照軸とするものである。これは、Williamsを直接の研究対象とすることと同時に、Williamsの著作を導きの糸にして19世紀中盤から20世紀中盤にかけての英国批評を、英国内にかぎらずとくにヨーロッパ大陸系の批評・哲学との影響関係・同時代性も考慮しつつ再検討することを意味している。 本年度は、海外より研究者三名を招聘し、9月23日にプレ・セミナー(Raymond Williams in the 1950s)、同月24日にシンポジウム(Fiction as Criticism/Criticism as a Whole Way of Life:Raymond Williams in Transit II)を開催した。この国際的なプレ・セミナー、シンポジウム(使用言語:英語)の開催によって、Williamsの知的形成のプロセス解明するための、重要な示唆を得ることができた。とくに、初期Williams(Culture and Societyまで)の形成、Williams伝記的資料についての第一人者であるDai Smith教授による、Williamsとウェールズの関係性についての報告は、従来のWilliams研究における盲点をあぶり出すものであり、この観点を代表者、分担者間のあいだで共有できたことは、今後の研究の進展に大いに資するものと考えられる。 また、ヨーロッパ思想に造詣の深い専門家の知見を得るべくインタヴューを行ったことで、20世紀前半の英国批評における社会信用論という盲点となりやすい系譜、そしてこの系譜とウィリアムズの仕事の関連性について、欠くことのできない視点を得ることができた。同時に、こうした系譜を湖行する際には、現代の諸問題との関連性を念頭に置くことが必要不可欠である、という視点も得ることができ、本年度内の研究の進行におおいに寄与したものと考えられる。
|