2011 Fiscal Year Annual Research Report
構造主義の残滓としての英国批評の国際的再検討―ラスキンからウィリアムズまで
Project/Area Number |
22320060
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
川端 康雄 日本女子大学, 文学部, 教授 (80214683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 不比人 成蹊大学, 文学部, 教授 (30248992)
大貫 隆史 関西学院大学, 商学部, 准教授 (40404800)
河野 真太郎 一橋大学, 商学研究科, 准教授 (30411101)
鈴木 英明 日本女子大学, 文学部, 学術研究員 (70299965)
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Keywords | レイモンド・ウィリアムズ / オスカー・ワイルド / ウェールズ / 文化と社会 / 英国批評 / モダニズム / 労働 / 原子力 |
Research Abstract |
本研究の2年目にあたる2011年度は、前年度の国際シンポジウムおよび資料調査の結果を受けて、各自、および集団的に研究内容を検討した。 2011年3月11日の大震災と福島第一原子力発電所の事故が否応なく引き起こした事態、およびそれに直面しての社会的経験は、本研究のキーパーソンである批評家レイモンド・ウィリアムズの系譜学的な作業をよりクリティカルなものとして読み直す契機となった。10月9日に関西学院大学で行った研究会では、名古屋大学工学部助教で原子炉物理学(臨界安全)を専門とされる遠藤知弘氏を迎えて「原子力、社会、そして文化」と題する討議を行った。その中身は研究誌『レイモンド・ウィリアムズ研究』第3号(2012年3月発行)に採録した。これは、ある言葉の系譜を溯行する際には、現代の諸問題との関連性を念頭に置くことが必要不可欠である、という昨年獲得された視点(「否定的系譜学」)を実践するものともなっている。 また英国のThe Raymond William Societyの研究誌であるKey Words:A Journal of Cultural Materialismの第9号を"Raymond williams in Japan"と題する特集として、そこに本研究のメンバーの2名(本報告の「13.研究発表」を参照)に2011年度の日本女子大学での国際シンポジウムの発表者(山田雄三・近藤康裕)の論文を加えて、併せて4本の論文を寄稿し、日本におけるレイモンド・ウィリアムズ研究の現状の一端を英語圏の研究者にむけて発信することができた。そこでは同じくシンポジウムに招聘したSwansea大学のDr Daniel WiIliamsとDr Dai Smithがそれぞれ特集の序文と巻末のコメントを担当している(前者は特集のコーディネータでもあった)。 2009年に端緒を開いて以来深めてきた国際的な研究協力の関係を継続しつつ、2012年度にはSwansea大学で次なるシンポジウムの計画があり、その準備として、12月26日と2月18日に行った研究会(それぞれ一橋大学と関西学院大学丸の内キャンパスで開催)ではウェールズ文学をめぐる討論を行って問題点の共有を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災による年度初めの出遅れがあったものの、徐々にペースを取り戻し、研究実施計画をおおむね円滑に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2012年度には、本研究課題におけるこれまでの成果を最終的な検討に付するため、"Long Revolutions in Wales and Japan:Raymond Williams in Transit 3"(仮題)と題するカンファランスを、年度後半に開催する予定である。その会議をより充実したものとするために、年度前半での研究会の頻度を増やし、準備を整えていきたい。
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Research Products
(15 results)