2011 Fiscal Year Annual Research Report
北東アジア危機言語の記述と類型に関するネットワーク構築
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22320075
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津曲 敏郎 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80113588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉人 恵 富山大学, 人文学部, 教授 (90223106)
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Keywords | 危機言語 / 少数民族 / 北東アジア / ネットワーク |
Research Abstract |
1.現地調査 代表者の津曲は9月にロシア連邦沿海地方にウデヘ語話者を訪ね、ウデヘ語のテキスト収集を行った。なおこの調査には別経費でウデヘ語を専攻する研究協力者1名(北海道大学院生)を帯同した。一方、分担者呉人は2012年2~3月にかけてロシア連邦ハバロフスク市において,コリャーク語の動詞の自他対応に関する聞き取り調査を行った。 2.研究成果の発表 津曲は11月にロシア連邦ユジノサハリンスク市で行われた、先住民言語文化の国際シンポジウムに参加し、ウイルタ語テキスト資料に関する研究発表を行った。呉人は国内の研究会・学会においてコリャーク語の文法に関する研究発表3件を行った。12月には北大において北方言語シンポジウムを開催し、分担者を含む国内の多くの研究者ならびに学生・市民の参加を得て、本科研の掲げるネットワーク構築を推進することができた。 3.外国人研究者との情報交換および研究打ち合わせ 8月に中国人研究者、11月にはロシア人研究者をそれぞれ北大に招き(招へいは別経費)、講演会を催すとともに、情報交換ならびに今後の共同研究を見据えて打ち合わせを行った。津曲はまた、3月に研究協力者とともに韓国ソウル大学を訪れ、ツングース語研究者と研究動向について話し合い、資料交換を行った。 4.ウェブサイトの更新と論文集の継続刊行 昨年度立ち上げた本研究のウェブサイトを利用して、研究会等の情報発信を行った。また昨年度創刊した『北方言語研究』の第2号を刊行し、定期的な刊行への道筋をつけた。第2号では昨年6月に行われた日本言語学会における北方言語の所有構造に関するワークショップでの発表を含む11件の論文・資料等を収録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に掲げた事項のうち、本研究にとって最も重要な「ネットワーク構築」に向けて、本研究が核となっての全国規模研究会開催と、広く北方言語研究者の投稿を得ての研究論集の継続刊行が達成できた。また代表者・分担者それぞれの研究課題に応じて、現地調査による資料収集や学会発表・講演等による成果の公開も順調に実現できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた、話者の招へいは先方の健康上の事情等により実現できなかった。これはある程度想定していたことではあるが、今後話者の高齢化がますます進むので、現地調査または再度の招へい計画等によって資料収集を急がなくてはならない。
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