2012 Fiscal Year Annual Research Report
北東アジア危機言語の記述と類型に関するネットワーク構築
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22320075
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津曲 敏郎 北海道大学, 文学研究科, 教授 (80113588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉人 惠 富山大学, 人文学部, 教授 (90223106)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 危機言語 / 少数民族 / 北東アジア / ネットワーク |
Research Abstract |
1.【研究打ち合わせ】 5月に代表者津曲が分担者呉人の所属する富山大学に出向き、本年度の研究実施計画等について打ち合わせた。8月には代表者と分担者が網走市の北方民族博物館で資料調査とともに、関係研究者との打ち合わせを行った。 2.【現地調査】 津曲は9月にロシア連邦沿海地方にウデヘ語話者を訪ね、ウデヘ語のテキスト収集を行った。なおこの調査には本経費でウデヘ語を専攻する研究協力者1名(北海道大学院生)を帯同した。一方、呉人はロシア連邦ハバロフスク市において,コリャーク語の話者から文法に関する聞き取り調査を行った。 3.【研究成果の発表】 津曲は11月に韓国で行われたアルタイ学に関する国際シンポジウムに招待を受け、ウイルタ語研究の現状と課題について研究発表を行った。またこの機会を利用して海外の研究者と情報交換を行った。呉人は国内の研究会においてコリャーク語の文法に関する研究発表3件を行った。このうち7月に北海道大学で開催された研究会では、呉人自身が代表を務める他の科研と連携して、国内の研究者ならびに学生の参加を得て、本科研の掲げるネットワーク構築を推進することができた。 4.【ウェブサイトの更新と論文集の継続刊行】 初年度に立ち上げた本研究のウェブサイトを利用して、研究会等の情報発信を行った。同じく初年度に創刊した『北方言語研究』の第3号を刊行し、北方言語研究者のネットワークとしての役割が内外に認知されつつある。今号では昨年6月に行われた日本言語学会における北方言語の動詞屈折形式に関するワークショップでの発表を含む13件の論文・資料等を収録した。そのほか津曲は、継続して取り組んでいるウデヘ語自伝テキストの7冊目を本経費で刊行し、著者と現地に還元した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究者間のネットワーク構築に寄与することが、本研究の重要な目的の一つであるが、本研究が核となっての研究会開催や成果公表の場をとおして、研究者相互の連携が拡大・強化されつつある。とりわけ、3号を重ねた研究論集『北方言語研究』の刊行によって、北方言語研究者の発表と情報交換の場としての位置づけが浸透するとともに、研究者の協力による査読を行うことで専門誌としての水準を保ち、内外から認知と評価が得られるようになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者と分担者が各自の研究課題である調査研究を推進すると同時に、ツングース語学・古アジア語学それぞれの分野での推進者として、研究者間のネットワークの強化と若手研究者の育成も視野に、これまでの活動を続けたい。今後は、研究成果の現地還元を含む、話者集団とのネットワーク作りにも力を注ぎたい。その一助として、話者の招へいを考えているが、話者の高齢化にともなう健康上の事情等により、先延ばしとなっている。機を逸することのないよう、無理のない形で実現をはかりたい。
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[Journal Article] Quasi-mermaid construction in Koryak2013
Author(s)
Kurebito, Megumi (呉人 惠)
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Journal Title
Adnominal Clauses and the ‘Mermaid Construction’: Grammaticalization of Nouns (T. Tsunoda ed., National Institute for Japanese Language and Linguistics)
Volume: 国立国語研究所共同研究プロジェクトレポート13-01
Pages: 649-666
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