2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22320076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗林 均 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (30153381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 純男 東京学芸大学, 留学生センター, 教授 (10225740)
松川 節 大谷大学, 文学部, 教授 (60321064)
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Keywords | モンゴル語 / モンゴル文字 / アラビア文字 / 契丹大字 / ダグル語 / 元朝秘史 / 漢蒙対訳碑文 |
Research Abstract |
本研究の目的は、13世紀と14世紀の時代に記録されたモンゴル文字、パスパ文字、アラビア文字、漢字等の文字で記録されたモンゴル語の文献資料に関する言語学的・文献学的研究の成果を集積し、それぞれの言語実態を解明するとともに、それら表記の違いを越えて、統一的な言語実体としての「中世モンゴル語」の特徴を音韻・文法・語彙の各分野にわたって総合的に解明することである。 平成23年度の活動は、各種文字文献資料の調査と、それらの校訂・入力・整理を中心に行った調査研究としては、栗林は中国でモンゴル文字文献資料調査を、斎藤はイギリスとイタリアでアラビア文字写本資料調査を、松川は、モンゴル国で契丹大字碑文調査を行った。それぞれ、入手した資料にもとづいて校訂と入力の作業を進めている。 研究の成果として、研究論文3点、著書2点を公刊した。著書のうち『「達斡爾語詞彙」蒙古文語索引 附:満洲文語索引』(東北アジア研究センター、2011、300頁)は、モンゴル語系の「ダグル語」におけるモンゴル語と同源の語彙を集めたもので、中世モンゴル語の特徴を多く保存しているダグル語の語彙資料を整理して、研究の基礎資料とした。また『「元朝秘史」傍訳漢語索引』(東北アジア研究センター、2012、582頁)は、漢字表記モンゴル語資料に付されている漢語の観点から資料整理を行ったもので、中世モンゴル語資料の語彙研究の基礎資料を提供した。 論文の「漢文・モンゴル文対訳「達魯花赤竹君之碑」(1338年)訳註稿」(松川ら、2012)は、14世紀の漢蒙対訳碑文の解読・研究・訳註であり、中世モンゴル語研究に大きく貢献した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は、中世モンゴル語資料の調査研究と、各種文字データの校訂・入力・整理、および研究のネットワーク化という3つの柱から成る。平成23年度は東日本大震災により栗林の研究拠点が被害を受け、計画していた国際シンポジウムの開催を延期することにした。こうした事情にもかかわらず、調査研究、データの整理はおおむね順調に遂行され、研究論文3点、研究書2点、国際会議発表1件を研究成果として公刊することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、(1)中世モンゴル語資料の調査研究、(2)各種文字データの校訂・入力・整理、(3)研究のネットワーク化、を3つの主要な柱として研究を進めていく。 このうち、(2)の「各種文字データの校訂・入力・整理」は、これまでそれぞれの研究者が恒常的な作業として進めているが、それらを統合する段階に進むことを計画している。 同時に、蒐集し、校訂・入力を進めている資料については、影印あるいは翻刻の資料集、訳注、研究として公刊するやり方を今後の計画に組み入れることを予定している。 計画の変更や遂行上の大きな問題点は特にない。
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