2013 Fiscal Year Annual Research Report
コエ語族ガナグループの系統分類の再検討:シフトかイノベーションか
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22320080
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
大野 仁美 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (70245273)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コイサン / 系統 / コエ / 親族名称 / 文法 |
Research Abstract |
新規に出版された文献および研究機関を訪問して得た未公表の資料を追加して、以下のように研究を進めた:(1)親族名称の比較は、主にカ語族(Kx'a: ホアンが属していると近年考えられるようになった)の親族名称とそれにかかわる最新の情報を得たことにより、体系のシフトと「名前関係(namesake relationship/name equation;同じ名前を持つ個人を同じ親族カテゴリーにいれること)」の消失と関連して考察を進めた;(2)文法項目に関しては、グイ語にみられる非コエ語的特徴の同定と、それがコエ語として歴史的変化の結果得られたものなのかそれとも借用等によってえられたものなのかの考察を進めた。形態論的にはひきつづきPGNとTAMの調査を新規資料(テキスト含む)も追加しながら進めた。統語論的には、網羅的に基本的な項目に関してコエ語内における比較を進めた。グイ語において頻繁に用いられる「多機能な=様々な統語レベルで用いられる」ka(従属節マーカー/関係詞/後置詞等)は機能は限定的であるがナロ語(グイ語と系統的にも地理的分布も近い)や東カラハリコエ(系統的にも地理的にもグイからは遠い)で見られる一方、(語族の異なる)トゥー語でもみられ、グイ語においては近隣のトゥー語との接触の結果現在の多機能となった可能性があるなどの特徴が見られた。なお親族名称関係の論文執筆にあたり英文のチェックを依頼しうち既に1本は印刷中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
親族名称に関しては、未公表のコエ語データおよびカ語族のデータの提供をうけたので、それらを組み込んだ内容で書き直しにかなり時間がかかった(ている)ため;文法項目に関しては、新規に見つけられた現象等も含め、非コエ語的特徴のリストアップがまだ終了できず、継続中であるため、それぞれ遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
親族名称に関しては、既に作成最終段階にあるいくつかの論考を順次仕上げていく。文法項目の比較に関しては関しては、非コエ語的特徴の全体ではなく、個別のより重要と思われ項目に限定してホアン語その他との比較対照を進めることとする。
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