2012 Fiscal Year Annual Research Report
第一言語の韻律特性が日本語学習者の音声知覚・生成に及ぼす影響の解明
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22320081
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 眞理子 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (00329054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 仁子 愛知淑徳大学, 公私立大学の部局等, 助教 (80455196)
天野 成昭 愛知淑徳大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90396119)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 音声習得 / 第二言語習得 / 韻律 / 発話リズム / 特殊拍 / 第一言語干渉 |
Research Abstract |
2012年度は、タイ語と英語話者の発話データの収集をタイと日本国内で行った。並行して、引き続き中国語話者のアノテーション及び発話リズムの分析と、ベトナム語話者、フランス語話者の発話データのアノテーションを行った。 第一言語の発話韻律特性として様々な言語で研究されている変数のうち、大域的(%V, V/C, ΔV, ΔC, ΔALL, VarcoV, VarcoC, VarcoAll)と局所的変数(PCI とnPVI)を、中国語話者とベトナム語話者の日本語学習者の特殊拍の発話から抽出し、日本語母語話者の発話から抽出したこれらの変数と比較し、これらの変数から母語話者と日本語学習者との発話リズムの違いがみられるかどうかを検証した。 アノテーション済みの特殊拍を含む、統一した枠(「これは[テスト後]と読みます」)に埋め込まれた日本語の単語343語の中国語話者7名、ベトナム語話者7名の発話データと、日本語母語話者6名の同じデータから上記変数を求め、それらを比較した。中国語話者もベトナム語話者も変数の分析結果は、大域的変数と局所的変数を単独で用いた場合、母語の判別率は非常に低かった。しかしベトナム語話者の発話は、%V, VOA(VOTの非同期性), 正規化したVOAの平均値の三つの変数を用いると、日本語母語話者と6.2%のエラーで判別が可能であった。しかし台湾人中国語話者の場合は、これら三つの変数では、日本語母語話者の日本語発話と少なくとも発話リズムに関しては、判別ができず、もっと多くの変数の組み合わせが必要である。これらの違いは、学習者の第一言語の違いだけではなく、今回は台湾人学習者のほうがベトナム人学習者の日本語力よりも高かったため、学習者の日本語レベルの違いが理由の一つであろうと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度のデータ収集の遅れをそのまま引きずっており、他の言語の分析が滞っているが、収録済みのデータの分析は、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
収録が終わった言語の発話データから随時、アノテーションを行っているので、今年度中にはある程度の結果が出せる予定である。
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