2013 Fiscal Year Annual Research Report
第一言語の韻律特性が日本語学習者の音声知覚・生成に及ぼす影響の解明
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22320081
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 眞理子 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (00329054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 成昭 愛知淑徳大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90396119)
山川 仁子 愛知淑徳大学, 公私立大学の部局等, 助教 (80455196)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 発話リズム / 第二言語習得 / 第一言語干渉 / 韻律 / 特殊拍 / フランス語 |
Research Abstract |
今年度は、フランス語母語話者の発話データのアノテーションと分析を行った。フランス語には促音がなく、また母音の長短に音素的区別も弁別機能もない。またフランス語の発話リズムの基本単位はシラブル、日本語はモーラと、リズム体系も異なる。したがって、フランス語話者の日本語発話にどの程度、第一言語(フランス語)の影響がみられるかを検証し、以下の特徴が明らかになった。 現段階で分析が終わっているフランス語話者7人の発話リズム大域的変数の値を日本語話者の変数の値と比較すると、フランス語話者の日本語発話では、%Vの値が日本語話者の%Vと比べて低い。これは第一言語であるフランス語自体が、シラブルを基本とする発話リズムであるため、%Vが日本語より小さく、その影響が表れたと推測される。またフランス語はΔCが通常日本語よりも大きいが、今回の結果では、日本語話者のΔCと比べて値が大きい傾向がみられるものの、テスト語の型によっても違いがみられ、他の変数と組み合わせて見る必要があることが分かった。 また、音素では/h/ の脱落が少なからずみられ、同時に母音で始まる語の頭に/h/を挿入する過剰矯正も見られた。また/(C)VN/の音節では、二つの顕著な特徴がみられた。まずモーラ鼻音の/N/の継続時間が短く、1モーラを構成するほどの長さがない発話の例が非常に多く観察された。また/N/を十分な長さで発音しないだけでなく、直前の母音が鼻母音として発音され、後続の/N/が鼻子音として認識できない例が多々見られた。しかし/hu/ (「フ」)の音節で始まる語に関しては/h/の脱落が見られなかった。これは日本語の「フ」の音節を”fu”とローマ字化することが一般的なので、フランス語話者にとって、/hu/の子音は他のハ行子音とは別の音として認識されている可能性がある。文字の発音への影響についての検証の必要性を認識した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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