2012 Fiscal Year Annual Research Report
音韻部門における極小主義モデルの構築と音韻獲得の仕組みの解明
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22320090
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
那須川 訓也 東北学院大学, 文学部, 教授 (80254811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BACKLEY Phillip 東北学院大学, 文学部, 教授 (20335988)
遊佐 典昭 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (40182670)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 極小論 / 音韻部門 / 裸句構造 / 再帰性 / 依存関係 / 音節構造 / エレメント理論 / 言語獲得 |
Research Abstract |
本研究課題は、極小論(Chomsky 1995, 2001, 2005)を、その射程外であるように扱われてきた音韻部門に適用することを試みるものである。「極小化」という概念のもと、統語・意味部門と音韻部門に共通する高次な普遍的範疇や原理を探求し、それらから成る音韻モデルを考案するために、3年目に当たる平成24年度は、音韻部門と調音・知覚システム(articulatory-perceptual systems)との関係を明示にしているモデルを比較、検討し、極小論の指針と合致するモデルを探求した。 具体的には、Chomsky & Halle (1968)、Keating (1990)、Scheer (2004)、Samuels (2009) 等で提案されている音韻部門と調音・知覚システム間の関係を比較検討し、前年度までに考案した(独立解釈可能で余剰性を排する)音韻的最小単位(エレメント)と理論的に合致するモデルの可能性を探った。さらに、極小論の立場から最大限の制限性を達成するために、音韻部門と調音・知覚システムとの間に派生中間レベルを一切仮定せず、適格な語彙(音韻)表示は直接的に音響信号にマッピングされるというモデルを提案し、様々な言語で観察される音韻現象を分析することで、その妥当性を探った。 上述の研究成果は、平成24年度も、本研究のウェブサイトを通して公開し、海外の研究協力者および国内外の関連分野の研究者と情報の交換を密に行ってきた。また、本年度の段階で考案した極小主義的インターフェイス・モデルの妥当性を検討するための言語分析およびその研究成果は、国内外において権威のある雑誌や出版社から(論文(10編)および書籍(3冊)という形で)出版された。また、国内外で開催された33の国際学会やワークショップにおいて報告された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究遂行に必要な関連文献やデータの入手が予定通り行われ、それらを丹念に検討・分析した結果をもとに(部分的にではあるが)音韻部門と調音・知覚システム間のインターフェイスのモデルを考案できた。また、研究成果を国内外の学会や学会誌で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的遂行のために、まず、(1) 専用のウェブサイトを用意して活動状況を公開し、外部からのフィードバックを常に受け入れられる体制を引き続き整える。次に、(2) 統語部門で用いられている範疇や装置を多く採用している依存・認可・統率音韻論を中心に、音韻表示の適格性に関する文献の収集を行い、それらの内容を丹念に検討する。そして、(3)同様の関心を持つ国内外の研究者から情報を収集し、積極的に意見の交換を行う機会を引き続き設ける。さらに、(4) 研究成果を英語でまとめて、国内外の学会や学会誌で発表する。
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