2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国国内における日本語学習者の縦断的中間言語コーパスの構築と動詞の習得過程の解明
Project/Area Number |
22320093
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉村 泰 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (60324373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 麟声 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (80331122)
建石 始 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (70469568)
庵 功雄 一橋大学, 国際教育センター, 准教授 (70283702)
稲垣 俊史 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (00316019)
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Keywords | 日本語学 / 中間言語 / 日本語教育 / 中国語話者 / 対照研究 / コーパス / 誤用分析 / 会話データ |
Research Abstract |
本年度は中国国内における日本語学習者の縦断的中間言語コーパスの収集とコーパス作成を行うとともに、日本語学習者の動詞習得過程の解明を行うために日本語と中国語の動詞の分析を行った。 1.学習者中間言語コーパスの構築 (1)中国・湖南大学の日本語学科の学生(2年次後半~3年次前半)の日本語作文データを収集し、言語研究用のコーパスを作成した。(PDF版、スクリプト版) (2)中国・湖南大学の日本語学科の学生(2年次後半~3年次前半)の日本語会話データを収集し、言語研究用のコーパスを作成した。(音声データ版、映像データ版、スクリプト版) 2.日本語と中国語の動詞の分析 (1)収集した中間言語データから学習者の誤用例を抽出した。 (2)動詞に関して「日中複合動詞」(杉村)、「日中単純動詞」(張)、「動詞の他動性」(建石)、「漢語動詞の習得」(庵)、「和語動詞の習得」(稲垣)の観点からそれぞれ分析を進めた。 3.研究報告・資料収集 (1)12月に名古屋大学で開催された「中国語話者のための日本語教育研究会」において、本プロジェクトで作成しているコーパスのPRを行った。また、中国・台湾の大学や学会において、動詞習得に関する資料収集を行った。 (2)3月に一橋大学で開催された「中国語話者のための日本語教育研究会」に湖南大学の張佩霞教授と蘇鷹講師を招聘し、学習者の誤用に関する検討を行った。また、湖南大学の大学院生(研究協力者)の協力により、作文コーパスにおける誤用データの作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトでは、学習者中間言語コーパスの構築が研究の主要な柱となっているが、中国の湖南大学の協力により、そのためのデータ収集が順調に進められているため。また、動詞の習得に関しては、自動詞・他動詞・受身の使い分けに関して、習得段階別による一定の誤用の傾向が見られ、日本語教育に貢献しうる興味深い事実が、明らかとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに中国の湖南大学において日本語学習者の日本語会話と作文のデータ収集を行い、3年次後半から4年次後半までのデータをコーパスにする計画である。また、このデータを利用して被験者の大学入学から卒業までの日本語能力の伸びを分析する予定である。現時点では特に問題は生じておらず、引き続きこのまま研究を進めていくつもりである。
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