2011 Fiscal Year Annual Research Report
学習者の多様な背景に着目した論文スキーマ形成型日本語文章作成支援に関する実証研究
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22320095
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村岡 貴子 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (30243744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁科 喜久子 東京工業大学, 留学生センター, 教授 (40198479)
因 京子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (60217239)
中島 美樹子 東北大学, 工学(系)研究科, 教授 (80005488)
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Keywords | 専門日本語教育 / アカデミック・ライティング / 論文スキーマ / 学習リソース / 文章作成支援 / 文章評価能力 / テキスト分析タスク / メタ認知 |
Research Abstract |
1.文章作成支援リソースの開発 昨年度に続き、文章作成支援リソースの開発を進め、支援可能な学習者の日本語レベルや母語(漢字圏・非漢字圏)および、在学段階(研究生、修士、および博士)等の背景を十分に考慮した上で、当該リソースの内容と構成を検討した。当該リソース開発に参照した主要データは、1)日本語ライティングクラスの受講者である学習者が授業中に相互に複数の文章を比較分析するテキスト分析タスクを行った上で作成した文章、2)学期当初に作成した文章を学期終了時に推敲して改訂した文章、3)ライティング学習とライティング能力の自己評価に関する個別インタビュー調査の結果である。このように、学習者の背景や学習過程に留意した新たなリソースを開発するべく、全体構成をほぼ確定し、かつ、各章の内容(学習.研究活動への意識化編、文章理解編、文章の比較・評価・分析編等)を分担執筆しているところである。 2.学習者のライティング関連の学習背景とライティング上の問題に関する調査・分析 以前から分析を継続している学習者の文章における構成や論理展開の問題についても、データを増やして問題を分類し、原因を分析してきた。また、学習者へのアンケートや聞き取り調査からは、彼らの学習への意識について』もデータに含め、論文スキーマ(研究成果を公表する文章のあり方についての知識の総体)の形成過程を質的に分析した。学習者は、日本語の言語項目に関する知識のみならず、文章観、文章作成観、文章学習観等が各々異なっており、、また、母国での母語や日本語の言語学習経験におけるライティング学習の方法も多様であった。そういった背景が、上記リソースで重要と位置づけている「メタ認知」や「協働」への考え方にも深く影響していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた以上に、リソース開発のための基礎的研究として、ライティングの学習過程やライティングへの意識の差異、およびそれに影響する種々の背景等が徐々に明らかにされてきている。ただし、海外での大学の教員に対する意識調査等は一部しか進展していないため、この科研プロジェクトの後半の2年間でより進めたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
特に大きな問題はないが、今後の研究の発展に鑑みて、在学段階や専門分野の違いによる文章作成支援の質や方法が異なることが予測されるため、関係する問題を見極めて分類し、必要に応じてさらに多様な分野の研究者との連携についても検討を行いたい。
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