2012 Fiscal Year Annual Research Report
最新の考古調査および礼制研究の成果を用いた中国古代都城史の新研究
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22320142
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐川 英治 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (00343286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 力 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (50299020)
松下 憲一 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (60344537)
塩沢 裕仁 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (70414076)
小尾 孝夫 大手前大学, 総合文化学部, 准教授 (90526675)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 中国古代史 / 都城 |
Research Abstract |
本科研の代表者である佐川英治と研究分担者の塩沢裕仁と松下憲一は、これまで各自による盛楽や平城の研究において北魏の都城と遊牧世界とのかかわりを論じてきた。そして陰山周辺に築かれた六鎮を初めとする北魏の城郭都市に対する関心を深めてきた。すでに1990年代から大青山一帯の北魏城址についての情報は多く発せられるようになり、とくに2003年に出版された国家文物局主編『中国文物地図集・内蒙古自治区分冊』(西安地図出版社)でその全貌が示されて大青山一帯に少なからぬ北魏の城郭都市の遺跡が存在することが明らかとなっていた。しかし一方で多くの報告書にはきわめて簡略な説明と図面しかなく、それらの資料から都市の性格を研究することは難しかった。そこで我々は本科研において大青山一帯の北魏城址の現地調査をおこなうこととし、2010年8月と2011年8月の二度にわたって大青山一帯の北魏城址の現地調査をおこなった。その目的は第一に遺跡の正確な位置を掴むこと、第二に遺跡の現状を知ること、第三に遺跡およびその周辺の景観を理解すること、第四に現地で情報収集に努めることであった。そして大青山一帯の主な城址の大半については所期の目的を達成することができた。 これらの成果をもとに我々は2012年6月と12月の二度にわたって外部の専門家を招き講演会とシンポジウムを開催した。協力して下ったのは創価大学の林俊雄教授、金城大学の蘇哲教授、東亜大学の黄堯芬教授らであり、これに我々の研究成果を加え、2013年6月に研究成果報告書『大青山一帯の北魏城址の研究』をまとめた。またこれ以外に佐川は中国での研究発表をおこない、本科研の成果の公表に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最終年度を待たずに研究成果報告書『大青山一帯の北魏城址の研究』をまとめることができた。本報告書は現地調査にもとづく北魏六鎮のまとまった研究成果としては、国内外を問わず最初のものであり、今後魏晋南北朝隋唐史を研究する多くの研究者に利用されるものと考える。また中国においても積極的に成果を発信することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本科研の最終年度になるため、引き続き各人の研究を発展させていく一方、代表者はとくに海外での研究成果の発表を積極的におこなう。また分担者の陳力、小尾孝夫とともに漢魏晋南北朝時代の都城復元図の比較検討をおこない今日の都城史研究の課題と展望を示す研究報告書を作成する。
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