2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22320149
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
豊田 浩志 上智大学, 文学部, 教授 (20112162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 晶 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (60174330)
坂口 明 日本大学, 文理学部, 教授 (10153876)
堀 賀貴 九州大学, 人間環境学研究科, 教授 (20294655)
黒田 泰介 関東学院大学, 工学部, 准教授 (70329209)
加藤 磨珠枝 立教大学, 文学部, 准教授 (40422521)
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Keywords | 西洋史 / 美術史 / 考古学 / 建築史 / イタリア / 港湾 / オスティア / ポンペイ |
Research Abstract |
1.周知のように、昨年度は3.11の東日本大震災による科研費の分割配分により、9月実施の現地調査を当初の計画通り実施することは不可能となり、規模を縮小せざるをえなくなった。しかし、オスティア考古管理事務所関係に限ってはその好意により、精度を向上すべくレーザースキャナーによる三次元実測を行うことができ、また研究成果も着実に公表している(担当:堀・片山)ほか、新たにArea Sacra RepubblicanaとSantuario dei QuattrotempiettiおよびVia Laurentinaのネクロポリでの見学調査も許され、とりわけ共和政期まで遡る裕福だが社会身分の下層の墳墓についての興味深い知見を得ることができた(毛利・山形)。 2.その他に、いよいよナポリ湾岸都市、とりわけポッツオリ歴史的中心地区内の大聖堂に関して、特別許可による実地検証をすることができた(黒田)。人脈を太くして今後の調査への展望を持つことができたのは大きな収穫であった。 3.また、ポンペイ地区においても、古代学協会が通称カプア門近辺で発掘した獣骨の本格的な調査に着手する目星がついたことも、大きな成果といえる(池口)。これは今後サレント大学との国際共同研究により着実に進展するはずで、その成果が今から期待されよう。 4.文献研究と遺跡調査の接点研究も、本年度中に幾つかの成果を得られる見込みが立った。とりわけいわゆる「七賢人のタベルナ」、それに「呪詛板」への着目がそれである(豊田)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研の要は、当初、精密光学機器の投入によるオスティアとポンペイにおける3Dデータ、およびナポリ湾岸都市遺跡へのアプローチにあった。前者のポンペイについては、3.11の影響による予算の分割により不本意ながら実施できずに終わらざるを得なかったが、後者については人脈と資料収集に成果を得ることができ、他方で、今回新たにポンペイ遺跡より発掘された大量の獣骨研究への道が開かれたので、総合的には達成度の関してプラス・マイナス=ゼロと評価したい。
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Strategy for Future Research Activity |
オスティア・アンティカ調査は次年度で最終段階を迎えるが、ポンペイやポッツオリを中核とするナポリ湾岸での調査は初期的手がかりをようやく築くことができたことで、これからが本番となるであろう。 その際の重点項目は、最新精密光学機器によるポンペイ等でのデータ取得と、獣骨の本格的調査に置かれるであろう。そのほか、宗教・歴史・建築方面からのアプローチもいよいよ成果公表に向い、本年度夏に予定されている現地調査において、詰めの段階にあり、これについては年末原稿締め切り、本年度末リポート印刷の段取りで動いている。 なお、本科研の初年度の11月に開催した一連の国際シンポジウムの報告書の出版について、現在その可能性を探っている状況であるが、もし資金的めどがついて可能となれば充実した内容のものが本年度中に出版されるであろう。
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Research Products
(13 results)