2012 Fiscal Year Annual Research Report
有明海・八代海沿岸地域における古墳時代首長墓の展開と在地墓制の相関関係の研究
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22320160
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉井 健 熊本大学, 文学部, 准教授 (90263178)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 考古学 / 古墳 / 熊本県 / 阿蘇 / 長目塚古墳 / 平原古墳群 / 壺形埴輪 / 武器武具 |
Research Abstract |
1.阿蘇市長目塚古墳1949・1950年調査出土遺物に関するデータ整理および報告用写真図版の編集・版下作成。 阿蘇神社および熊本県教委から借用して再整理作業を行っていた標記資料について、すべての実測・写真撮影等が終了。熊本県教委と協議のうえ、すべての資料を阿蘇神社に返却した。その後、作成した諸資料・データの整理作業に移行、報告書に掲載するための写真図版を編集し、版下を完成させた。 2.阿蘇市平原古墳群6号墳の墳丘発掘調査を実施し、発掘調査報告書を発行。 昨年度測量調査に着手した平原古墳群であるが、今年度は6号墳墳丘の発掘調査を実施した。その結果、2段の築成を有する31×28mの円墳であること、葺石・壺形埴輪を有することが明らかとなった。また出土埴輪や土師器から古墳時代前期後葉から中期前葉に位置付けられると推定された。まったく情報がなかった平原古墳群の様相の一端が示された点は、近接する中通古墳群や迎平古墳群との関係を念頭におきつつ阿蘇地域の古墳時代を考察するうえできわめて重要な成果である。 3.研究集会を実施。 本研究参加者が一同に会しての研究集会を開催し、それぞれが担当するテーマ研究についての進捗状況を報告、問題点を抽出したうえで各人の考察を深めた。また、次年度作成予定の報告書編集案についても討論し、目次のおおよそを決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主課題には、①長目塚古墳出土遺物の再整理、②熊本県地域の中期古墳動向の解明、③新たなフィールドの獲得があるが、①については最終段階に達し、②については中期古墳出土の鉄製武器武具の調査について別の共同研究(「マロ塚古墳出土品を中心にした古墳時代中期武器武具の研究」や「古墳出土遺物の資料化と報告に関する実践的研究」)との連携が的確に行われている。③については平原古墳群という将来にも調査継続可能な良好なフィールドを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新たなフィールドである平原古墳群の調査の継続をはかりつつ、長目塚古墳出土遺物再整理に関する報告文を完成させる。また、本研究参加者はそれぞれが担当しているテーマ研究に関する総括論文を執筆する。これらの成果内容を検討する研究集会を実施したうえで、最終的な調査・研究成果をまとめた報告書を出版する。
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Research Products
(3 results)