2010 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける人の移動と帰還移民の再統合に関する社会人類学的研究
Project/Area Number |
22320175
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
伊藤 眞 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (60183175)
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Keywords | 文化人類学 / 移動 / グローバル化 / 外国人研修生 / 帰還移民 / 家内労働者 / 国際結婚 / インドネシア |
Research Abstract |
本研究の主要対象であるインドネシアにおける人の移動先は、中東、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、香港、台湾、韓国、日本に及ぶ。韓国、日本への移動は、研修生の占める割合が高いのに対して、それ以外の地域へのインドネシアからの人の移動は、女性家事労働者がその大半を占める。初年度は、インドネシア系移民の国内・国際移動の様態、移動先に関する文献・統計、移民政策等の資料収集のために、マレーシア、シンガポール、香港、台湾、韓国で予備的な調査を実施するとともに、インドネシアにおいては、伊藤及び連携研究者が、西部・中部ジャワ州、南・東南スラウェシ州において、日本での労働経験をもつ元研修生から聞き取り調査をおこなった。主な調査として、伊藤はシンガポール、香港においてインドネシア人家事労働者の現地における創作活動や生活実態の調査を、山下は韓国安山市の移民地区サービスセンターにおいて移民に関する情報収集と同地域在住のインドネシア移民からの聞き込み調査を行った。小池は台湾台北市、高雄市において、台湾で出版されるインドネシア語雑誌が、インドネシア女性の介護・家事労働者のネットワーク形成において重要な役割を果していることを明らかにし、信田はマレーシアにおけるインドネシアの出稼ぎ労働者・移民集住地域での聞き取り調査から、インドネシア移民がマレーシアの社会的下層に位置づけられていることを再確認した。一方、研究協力者のリワント・ティルトスダルモは、日本におけるインドネシア人コミュニティの調査から、宗教施設の重要性を確認し、横田は、西カリマンタン州におけるインドネシア華人の海外出稼ぎ状況の調査から、女性の国際結婚の経済的重要性を把握した。山口は東南スラウェシ州における日本への元研修生への調査から帰還後の生業において日本で習得した技能が生かされる事例が少ないことを明かにした。
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Research Products
(8 results)