2011 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける人身取引と法制度・運用実態の総合的研究
Project/Area Number |
22330007
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大久保 史郎 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 教授 (90066720)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 美喜夫 立命館大学, 法学部, 教授 (70148386)
吉田 容子 立命館大学, 法務研究科, 教授 (30469168)
徳川 信治 立命館大学, 法学部, 教授 (60280682)
樋爪 誠 立命館大学, 法学部, 教授 (00308769)
小田 美佐子 立命館大学, 法学部, 准教授 (20388078)
|
Keywords | 人身取引 / 人間の安全保障 / 入管法制 / 外国人の人権 / 労働研修生・技能実習生 / 人の国際移動 |
Research Abstract |
今年度の研究の成果のうち最大のものは、国際会議「東アジアにおける人身取引の実態と効果的対策」を2011年12月10-11日に立命館大学で開催したことである。この国際会議では、(1)日本と世界における人身取引と対策の現段階の総括評価、(2)国連および各国からの現状報告-(i)国連 (ii)タイ・ASEAN (iii)フィリピン (iv)韓国 (v)中国 (vi)米国 (3)日本の人身取引対策全般の現状と課題の検討:日本の人身取引対策と問題点-とくに、2009年行動計画-をめぐって、(4)日本における労働研修・実習生問題をめぐって-日本の現状とその国際比較から検討することを内容とした。この国際会議は、日本における人身取引(性的搾取および労働搾取)の本格的な検討としては、はじめてのものとなった。とくに、国連および各国からの報告を直接、反映させる国際会議として画期的なものとなった。また、人身取引対策と現場の実態を付き合わせた会議として、実態を知るNGO、弁護士・行政書士などが参加する国際会議としても先駆的な機会となった。この国際会議の内容は、冊子体の記録集(全257頁)および 附属資料(国連「人身取引議定書」、日本・タイ・フィリッピン・韓国・中国の関連資料を集成したもので、全353頁)としてまとめられた。そして、これ以外の研究成果としては、この国際会議に向けて定期的な研究会を積み上げるとともに、国際会議での報告準備のため、担当地域ごとの班活動として海外調査の実施および国内の関係機関へのヒアリング調査を実施した。このような研究活動の内容および成果は、「News Letter」に適宜まとめられ、研究会メンバーの情報の共有とともに、社会に還元する媒体ともなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際会議「東アジアにおける人身取引の実態と効果的対策」を計画通り成功裏に開催することができた。これにより、今後の課題を明らかにするとともに、国際的な研究ネットワークも開発できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2011年度の国際シンポジウムの成果を踏まえ、2012年度は最終計画年度に当たることから、以下の5つの部門から構成されるシンポジウムを行うことにし、それに向けた研究活動を展開する。すなわち、(1)人の自由移動をめぐる国際経済的動向と日本の出入国管理政策、(2)出入国管理に関する刑事政策の実証的研究、(3)研修生・技能実習生の実態と労働政策との関係、(4)性的搾取・労働搾取に関する意識調査研究、(5)アメリカ、国連における人身取引に関する対応の実証的研究、の5つである。
|
Research Products
(11 results)