2010 Fiscal Year Annual Research Report
行政の主体の多層化・多元化に対応する行政法理論の構築
Project/Area Number |
22330009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 隆司 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (70210573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 誠 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00186959)
北島 周作 成蹊大学, 法学研究科, 准教授 (00515083)
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Keywords | 行政法 / 行政主体 / 地方自治 / 公私協働 / 民営化 / 行政法の国際化 |
Research Abstract |
1.行政法の国際化と地方自治との関係に関して、(1)条約上の義務を国が履行するために、地方公共団体を細かく義務付ける措置をとる必要が生じる例が増えていることを分析し(WTO政府調達協定、核物質防護条約)、(2)中には、国が地方公共団体に不必要に強い介入を行う例も見られるため(SOLAS条約実施のための国際航海船舶港湾法)、条約上の義務の内容を正確に分析して国内措置をとるべきことを指摘し、(3)さらに、こうした国際化が、地方自治法の一般ルールの変革も促す関係を明らかにした(国が地方公共団体に義務の履行を求める制度、地方公共団体の国政参加)。これまで正面から論じられていない、行政の主体の多元化の現象とそれに伴う法問題を析出する研究として、意義が大きいと考えられる。また本研究は、東アジア行政法学会で報告され、国際的に発信されることとなった。 2.上記の「国が地方公共団体に義務の履行を求める制度」について、イギリス法の状況をまとめた。本研究は、同制度を日本で導入するために進行している立法作業に資料を提供する目的で行われたものであり、実務に資するとともに、これまで十分研究されていなかったテーマを精緻に分析するものとして、学界に資するところも大きい。 3.民営化に対する法の対応の態様を英・米・EU間で比較する重要な欧文文献が出版されたため、これを紹介し論評した。民営化に対する法的対応を国際的に検討するための基礎となる研究である。
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