2011 Fiscal Year Annual Research Report
行政の主体の多層化・多元化に対応する行政法理論の構築
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22330009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 隆司 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (70210573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 誠 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00186959)
北島 周作 成蹊大学, 法学研究科, 准教授 (00515083)
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Keywords | 行政法 / 行政主体 / 地方自治 / 公私協働 / 民営化 / 行政法の国際化 |
Research Abstract |
第一に、分権化・開放化された国の行政組織と(地方)自治組織と公私協働の三者を、法的に関係づけて把握できる理論枠組を提示した。すなわち、この三者には法形式の差異があるが(人的基礎が単一の組織、複数の組織、および関係のネットワーク)、この三者の形態がとられる法的根拠およびこの三者を統制する法理には共通性がある。そして、こうした法的根拠および統制法理は、法治国原理・民主制原理・権力分立原理(さらにそれぞれが古典的原理・機能的原理に分かれる)の様々な組み合わせに還元できる。以上の理論枠組は、公私協働論を行政組織法の分析に生かす点、および公私協働を行政組織に近い形態から一般の行政作用・行政参加に近い形態までのスペクトルとして理解する点において、理論的な新規性と重要性を有する。そして、行政に関わる組織やネットワークの諸形態やその統制法理を漏れなく見通しよく整理できる点で、実践的意義も有する。 第二に、行政法の国際化について、国家間の水平関係と、国家と国際組織ないし多国間条約体制との垂直関係とに分けた上で、こうした関係においても法治国原理・民主制原理・権力分立原理をどのように適用するかが論点になることを明らかにした。そして特に前者の水平関係について、公法抵触法論の可能性を示した。このテーマは従来、行政法学でなく、ほぼ専ら国際私法学が論じてきたが、このテーマにおいて重要な意味をもつ「公法・私法」「公権力の行使」の概念については、行政法学の議論が近時深化しているところであり、こうした行政法学の近時の成果を踏まえて、公法抵触法論の全体像を提示した点に、研究の先駆性と科目を架橋する意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に、研究代表者・研究分担者が研究テーマ全体を概観する中間総括となる論文を公表し、研究期間後半の課題を明らかにすることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
定期的に研究会を開催し、研究代表者・研究分担者がそれぞれの研究を相互に関連づけ、広い視野から深化を図るとともに、研究成果を連携研究者や他の専門研究者に評価してもらう機会とする。
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