2010 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスにおける実効的で効率的な「行政的正義」実現に向けた構造転換に関する研究
Project/Area Number |
22330014
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
榊原 秀訓 南山大学, 法務研究科, 教授 (00196065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深澤 龍一郎 京都大学, 法学研究科, 准教授 (50362546)
林 晃大 近畿大学, 法学部, 講師 (80548800)
友岡 史仁 日本大学, 法学部, 准教授 (00366535)
田中 孝和 姫路獨協大学, 法学部, 准教授 (90441328)
上田 健介 近畿大学, 法務研究科, 准教授 (60341046)
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Keywords | 公法学 / 行政法学 / 行政的正義 / 行政救済 / 行政手続 / 情報公開 / 行政統制 / 裁量統制 |
Research Abstract |
メールでイギリス調査希望確認後、6月に研究分担者2名がイギリスで資料収集とヒアリング調査を行った。その後、8月1日の行政法研究フォーラムの前日に簡単に打合せを行い、今後の研究会や調査等の日程を調整した。9月の研究会では、イギリス調査の結果について質疑応答を行い、分担者の研究内容について意見交換した。また、10月の公法学会の際には、イギリス憲法研究会と合同で研究会を行い、1998年人権法について討論を行った。年度末の3月の研究会では、イギリスの医療行政・環境行政領域における情報や参加にかかわる問題、また、わが国やイギリスにおける地方議会や住民参加の新しい手法に関する現状を確認し、議論を行った。以上の調査や研究会を通して、わが国との比較でイギリスの「行政的正義」の現状を確認した。まず、司法制度改革としての最高裁や審判所の改革は、現在も進行中であり、また、1998年の人権法により、不適合宣言がなされない場合のヨーロッパ人権条約に適合した判断も積極的意義を有しており、行政に大きな影響を与えている。行政救済(司法審査)においても、裁量統制についての判例が蓄積し、活発な議論が継続してなされている。さらに、情報公開について、2000年に成立した情報公開法のみならず、環境行政領域における個別法は、極めて重要な役割を果たしてきている。他方、保守党と自由民主党の連立政権により、行政的正義にかかわる幾つかの政策の見直しが提案されており、その見直し提案の内容や実現の程度について今後フォローすることの重要性を確認した。例えば、わが国においては「議会内閣制」として注目を集めている地方統治構造改革は、イギリスの文脈では、行政統制のための議会改革に焦点が当てられているが、この制度にも一定の修正がなされようとしており、わが国の改革を考える上でも、制度改革を含めた検討が必要となっている。
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Research Products
(29 results)