2011 Fiscal Year Annual Research Report
集団的労働紛争解決の実態分析による労使関係立法の改革モデルの構築
Project/Area Number |
22330021
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野田 進 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (90144419)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中窪 裕也 一橋大学, 国際企業戦略科, 教授 (90134436)
|
Keywords | 集団的労働紛争 / 解決システム / ADR / 実態分析 / 労使関係法 / 改革モデル / 非核法・比較制度 / 労働組合法 |
Research Abstract |
本研究は、集団的労働紛争の解決システムの国内外の比較研究を通して、わが国の労使関係立法の改革を提言することを目的としている。 第2年目である本年度では、1年目に設定した研究体制のもとで、まず、初年度に引き続き、研究代表者と同分担者および研究協力者が、各担当国の集団的労働紛争の解決システムの実情調査を続行した。すなわち、(1)野田およびキョウ敏(久留米大学准教授)・新屋敷恵美子(山口大学講師)が平成23年8月にニュージーランドに、(2)高橋賢司(立正大学准教授)が同年8月~9月にドイツに、(3)野田、中窪が同年9月に中国において、それぞれ各国の集団的労働紛争の解決システムとその活動状況、および実体法との関わりについて調査を行った。 次に、これらおよび初年度調査をふまえて、平成24年1月29日午前10時より午後5時まで、研究メンバーにおいて、各国調査の調査報告会(第3回研究会)を実施し、問題の共通基盤や各国の固有の進展状況について、情報共有し、かつ討議を行った。 さらに、その研究成果として、専門紙「季刊労働法」236号(2012年3月)において、「特集紛争解決システムと労使関係立法改革」を企画し、下記の「研究発表」に記した研究代表者、研究分担者の論文のほかに、研究協力者である、以下の論文を発表した。高橋賢司「ドイツにおける集団的労働紛争処理システム」(52~68頁)、「イタリアにおける集団的労使紛争解決制度」(80~91頁)、キョウ敏「イギリスにおける集団的労働紛争解決システムの実態」(21~33頁)、新屋敷恵美子「ニュージーランドにおける労働紛争処理システム」(34~51頁)、山下昇「中国における集団的労働紛争の実態と素意の解決手続の課題」(92~103頁)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究協力者の熱心な協力を得ることにより、諸外国の調査が順調に進展するとともに、それらの調査により、集団的労働紛争解決システムのグローバルな進展の状況が明らかにされた。また、これを雑誌の特集として公刊したことにより、わが国学界で、重要な研究成果として、注目されるに至った。そのことはまた、3年目の研究進展のための、重要なステップとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
3年目である今年度は、2年目の諸外国調査・分析およびその論考化の作業を踏まえて、いよいよ労使関係立法の改革モデルの構築に軸足を置いた理論構築を図る。そのために、本年には、これまでに調査から必要性を認識した、国内の集団的労働紛争解決の実情を、改めて確認すべく、紛争解決の現場である労働委員会等、あるいは紛争当事者の中核である労働組合等のインタビュー調査を行う。 それとともに、これらの調査成果をもとに、最終年度である今年は労使関係立法の理論基盤の構想をこころみる。その上で、その理論成果を公表する。
|
Research Products
(4 results)