2011 Fiscal Year Annual Research Report
司法取引に関する先進諸外国の実態調査とわが国への導入可能性に関する総合的研究
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22330025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水谷 規男 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (20211584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 直也 立命館大学, 法務研究科, 教授 (20298392)
上田 信太郎 岡山大学, 法務研究科, 教授 (50243746)
岡田 悦典 南山大学, 法学部, 准教授 (60301074)
緑 大輔 北海道大学, 法学研究科, 准教授 (50389053)
京 明 香川大学, 法務研究科, 准教授 (90513375)
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Keywords | 司法取引 / 裁判員裁判 / 略式手続 |
Research Abstract |
平成23年度は、全体研究会を2回開催し、平成22年度に実施した海外調査(イギリス、アメリカ、オーストラリア)によって得られた成果を共有することに努めた。これらの国々はいずれも英米法系に属し、刑事手続の構造としても当事者主義を基調とする点で共通性を持つが、いずれの国においても法曹一元を前提として司法取引が成り立っていること、司法取引が必要とされる実際的理由が陪審裁判の手続的負担を避ける点にあること、司法取引が適正に行われるための前提条件として、弁護人への証拠開示や訴追に関するガイドラインが制度的に整備されていることが重要であることを知ることができた。このような知見を元に、研究分担者である笹倉氏が論文「司法取引の前提条件」(村井敏邦先生古稀祝賀論文集385-407頁)を発表した。また、8月には、国際犯罪学会に参加するため来日中であったトム・エリス氏(イギリス・ポーツマス大学)を招いて司法取引の国際比較に関する研究会を実施した。そこでは、イギリス・アメリカの司法取引についての議論の状況や、日本の訴追政策のあり方が英米法の側から見たときにどんな特徴が読み取れるのか、といった点について本科研のメンバーと同氏の間で議論を深めることができた。 平成23年度に実施した海外調査は、イギリス、ドイツ、アメリカ、韓国である。このうち、イギリスと韓国(ただし、調査時点では韓国は法案の国会審議中)については、捜査協力型の司法取引について、とくに知見を深めることができた。また、ドイツにおいては経済犯罪や租税犯罪といった複雑な事案で司法取引が有用と考えられていることを知ることができた。アメリカについては、法域ごとに制度が異なるため、昨年度とは調査場所を変えて、より詳細な調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外調査は、予定していた国の大半についてすでに実施済みであり、その直接的成果として、すでに本科研のメンバーによる本格的な研究論文も公表されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、平成25年度までの4ヵ年の計画である。そこで、3年目にあたる平成24年度は、調査活動を継続しつつ、研究成果の発表についても進めていく予定である。具体的には関連学会での研究成果の発表や、論文の公表を予定している。なお、最終年度の平成25年度には、その成果を報告書にまとめることを計画している。
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Research Products
(10 results)