2011 Fiscal Year Annual Research Report
政策形成プロセスに着目した知的財産法政策学の実践的な提言
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22330036
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 善之 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20197586)
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Keywords | 知的財産法 / 特許法 / 著作権法 |
Research Abstract |
本年度は、本研究費や田村が拠点リーダーを務めるグローバルCOEプログラムを活用して、Matthias Leistner教授(ボン大学)、Mary LaFrance教授(ネバダ大学)、Antonina Bakardjieva Engelbrekt教授(ストックホルム大学)、Adi Ayal教授(バー・イラン大学)、Daniel A.Crane教授(ミシガン大学)等を招聘して開催した国際シンポジウム、興津征雄准教授(神戸大学)、原田大樹弁護士(九州大学)、時井真弁護士等を招聘して開催したシンポジウムの際に、連携研究者の鈴木と中山を北大に集結させ、活発な討論によるインタラクティヴな共同研究を推進した。加えて、田村と鈴木は韓中日知的財産セミナーに参加し、本研究の成果を広く世に問うことを試みた。 その結果、以下のような成果が得られた。 鈴木は、主に特許制度(特に特許付与後のスクリーニングの在り方)及び国際著作権制度を素材として、政策形成過程における関係主体の分担関係に着目した制度の検討を行った。このうち特許制度に関する研究成果は、英語論文(田村と共著)及び日本弁理士会研究会の報告書掲載論文にまとめるとともに、シンポジウム等で発表した。 中山は、特許制度の政策目的実現の前提となる抽象的な技術的思想の認定を巡る発明の開示の在り方について検討を続けるとともに,大学発明や職務発明等を題材に知的財産権の帰属ルールとイノベーション促進という知的財産制度の政策目的との関係について検討し、これらの検討の成果を発表した。 田村は、イノベーションの構造と特許制度の関係の課題に取り組み、特許制度のイノベーションに対する貢献度に関する内外の実証研究を基に、one fits for allではない分野毎の特許制度の舵取りが必要であるという認識の下、それを実現する制度的な課題に関する研究を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
すでに本研究は昨年度までに産業分野毎に異なるイノベーション構造に対応するために試行錯誤を繰り返しながら何とか漸進的に暫定的な解を見つけようと模索するmuddling throughとしての知的財産法政策学という構想に辿りついており、本年度は各論への具体化を図るとともに、その成果を内外に発表することに当てられた。その結果、国際的な知的財産研究機関として著名なマックス・プランク知的財産研究所が主導して編集された特許制度の国際的な比較に関する研究叢書に田村・鈴木の共著論文を掲載した。また、田村が日本経済法学会、鈴木が国際経済法学会という経済法学において日本を代表する学会のシンポジウムで講演したほか、多数の海外での招聘講演に結びつけている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、日本工業所有権法学会において「イノベーションと特許制度」と題するシンポジウムを開催し、田村が司会となって、鈴木・中山とともに、本研究の成果を発表する予定である。また、著作権法学会における「著作権法の将来像と政策形成政策」と題するシンポジウムにおいて、政策形成過程に着目する本研究の成果を田村が発表する。このように日本の知財法に関する2大学会の場を利用して本研究の成果を世に問うことで、広く学界に貢献することを目論むとともに、その前後に集中的に田村・鈴木・中山で討議をなすことで、さらなる研究の飛躍を期する。くわえて、海外との交流を積極的に図り、もって共同研究の実を上げることにしたい。
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Research Products
(42 results)