2011 Fiscal Year Annual Research Report
近代東アジアのナショナリズムの相克--日清戦争以後の日本・中国・韓国
Project/Area Number |
22330043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米原 謙 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (30137301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 稔 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (20115554)
田中 仁 大阪大学, 法学研究科, 教授 (60171790)
金 鳳珍 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (90254614)
區 建英 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 教授 (20267701)
邊 英浩 都留文科大学, 文学部, 教授 (50264693)
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Keywords | ナショナリズム / 近代東アジア / ナショナル・アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究は、日清戦争後の日本・中国・韓国の対立・衝突をこの地域のナショナリズムの相互関係として理解し、一国史的な近代史研究の欠点の克服をめざしている。このため、本研究では、東アジアという地域のなかで、国民国家間の相互作用としてナショナリズムという現象を考察し、東アジア三国のナショナリズムをそれぞれのナショナル・アイデンティティの形成過程として捉え、その相互の影響・衝突・妥協・屈服・抵抗などのプロセスとして理解する視点に立っている。 こうした観点に立って、今年度も7名の共同研究者だけではなく、できるだけ外部の研究者をも含めた共同研究の場を持つことにした。具体的には、8月末に韓国の済州島で、韓国人研究者3名の参加を得て、共同研究の場を持ち、またこの機会を利用して、旧日本軍が戦争末期に建設した洞窟や飛行場跡などを見学した。また1月には東京で共同研究会をもち、フランス人と台湾人研究者に報告をしてもらって、議論を深めた。本研究グループには西欧の研究者が含まれておらず、また東アジアのナショナリズム研究を目的とするにもかかわらず、台湾の研究者を含んでいないので、二人の発表は非常に有益だった。なお研究代表者の米原は、1月に行われた台湾の総統・立法委員選挙を視察し、選挙でのナショナリズムの表現について考察する機会をもった。さらに米原と分担研究者の金・匪の三名は、この課題に直接かかわる共著『東アジアのナショナリズムと近代』(大阪大学出版会)を刊行し、この本について、前記の韓国・済州島での共伺研究会の際に合評会をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共著を出版し合評会をしたことによって、研究者相互の課題への理解が深まった。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題では、東アジアを主題としながら、台湾に関する視点が十分ではなかったので、来年度は台湾の研究者との共同研究作業も取り入れたいと考えている。
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