2011 Fiscal Year Annual Research Report
意思決定構造の計量経済モデルに基づくセミ・ノンパラメトリック統計解析とその応用
Project/Area Number |
22330067
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 慶彦 京都大学, 経済研究所, 教授 (30283378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
人見 光太郎 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (00283680)
永井 圭二 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 教授 (50311866)
依田 高典 京都大学, 経済学研究科, 教授 (60278794)
奥井 亮 京都大学, 経済研究所, 准教授 (20563480)
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Keywords | 構造モデル / セミパラメトリック法 / 独占 / マークアップ / 操作変数 / パネルデータ / 漸近有効性 |
Research Abstract |
Sequential Unit Root Test for Nearly Nonstationary AR(p)Processesにおいては、自己相関を持つ誤差から生成されるAR(1)に対する逐次単位根検定の方法を提案した。加えてAR(p)における単一の単位根の逐次検定についても新たに提案した。検定手法の漸近的性質は時間変更の手法を用いてDDSブラウン運動によって表される次元3/2のベッセル過程によって特徴づけることができる。Sequential Unit Root Testsでは自己回帰過程の単位根の逐次検定の理論についての総合報告を行った。Ida&Kuroda論文では、複数の市場の間でネットワーク効果が存在し、それを考慮に入れた利潤極大化戦略をモデル分析し、日本の固定インターネットと携帯電話市場を事例に取り上げ、構造的に実証分析した。その結果、独占力の弱い市場のマークアップを引き下げ、独占力の強い市場のマークアップを引き上げていることが分かった。また、Ida論文では、携帯電話のプラットフォームに起因するポータビリティが加入者の選択行動に与える影響をコンジョイント分析に従い、ミックスド・ロジット・モデルを用いて計量的に把握した。プラットフォームのオープン化が十分でない場合、サービスのポータビリティの欠如がスイッチング費用となり、携帯電話市場の活発な競争が阻害されることが懸念される。Ida&Kuroda論文では、純粋な利他性を計るとされる独裁者ゲームを発展させ、寄付金を受け取る受給者の血縁度、時間ラグなどを考慮に入れ、不平等回避モデルを使って分析し、ミックスド・ロジット・モデルを用いて実証分析した。その結果、社会的距離に応じた社会割引率、時間ラグに応じた時間割引率を同時推定できた。Hahn and Hausman(2002)は、操作変数推定において通常の漸近理論が適切かどうかの検定を考案した。Hahn-Hausman test as as specification testでは、その検定が、過剰識別検定を操作変数が多い状況に合わせて改変したものと同値であることを証明した。また、Efficient estim ation of autocovariances for panel data with in dividual effects under cross section and time series asymptoticsはパネルデータにおいて自己相関推定の漸近有効限界を導出し、Okui(2010)の推定量がどのような時に、有効推定量となるかを示した。パネルデータにおいては、無限次元の局外母数である固定効果を考慮する必要があり、それが有効限界の導出を自明でないものとしている。また、他の研究資金とも協力してヨーロッパ、アジア各国から関連分野の研究者を招き、11月29日から12月1日の3日間、京都大学楽友会館において国際研究集会Recent Development in Statistics,Empirical Finance and Econometricsを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者、分担者が協力体制をとりつつ、構造モデルの推定にかかわるトピックの研究を進めており、ほぼ当初の想定どうり順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通りの体制で研究を進めていく。2012年度に予定している実証分析のためのデータの入手に関して、不確実性があるが、予定通りのデータが入手できない場合は、推定モデルの方に工夫を加えて研究を進めていく予定である。
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Research Products
(13 results)