2012 Fiscal Year Annual Research Report
金融危機の波及メカニズムと金融機関の資産選択行動:日米欧の比較実証分析
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22330068
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 一夫 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90160746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
得津 一郎 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80140119)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 金融危機 / 資産選択行動 / 不良債権 / 国債保有 |
Research Abstract |
グローバル金融危機がどのようなチャネルを経てわが国の中小企業に影響を与えたのか、経済産業研究所が実施したユニークな中小企業へのアンケート調査データに基づいて実証分析を行った。海外からのショックが金融機関による貸出を経る効果、需要減退の効果、サプライチェーンを経る効果それぞれを識別した上で、それぞれの効果を定量的に評価した。この研究はGlobal Financial Crisis and the Small and Medium-sized Enterprises in Japan: How Did they Cope with the Crisis?として纏められ、Small Business Economicsに掲載された。 もう一つの研究では金融機関による国債保有行動を分析した。金融危機下では、金融機関はリスクの低い安全資産への選好を強めるといわれている。事実、わが国の金融機関は1990年代後半から国債への保有を増やし、貸出を抑制する資産選択行動を取ってきた。この行動は金融危機が去った2000年代中頃以降も続いている。通説では、実物経済の低迷を反映して貸出需要が伸び悩んでおり、その結果貸出の減少、国債保有の増加が生じているといわれてきた。国債保有と貸出供給の同時決定モデルを構築して、パネルデータを用いてこの通説を実証的に吟味した。その結果を、Why Do Financial Institutions Hold Government Bonds? :The Case of Japanという論文に纏めた。そこでは通説は支持されず、むしろ貸出市場における競争が激化して、金融機関が貸出を実行する際の費用に対する貸出の収益の低下が、貸出の伸びを低下させ、国債へ資金が向かっている主因であるという結果が得られた。 この結果についてオランダのグローニンゲン大学において研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)