2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22330069
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古澄 英男 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10261273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 邦恵 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (10360893)
各務 和彦 千葉大学, 法経学部, 准教授 (00456005)
宮脇 幸治 関西学院大学, 経済学部, 講師 (40550249)
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Keywords | ベイズ統計 / 分位点回帰モデル / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / パネルデータ |
Research Abstract |
今年度は研究実施計画にもとづき、データの整理、パネルデータに対する分位点回帰モデルの開発、提案した計量モデルに対するマルコフ連鎖モンテカルロ法の開発を中心に研究を行った。平成23年度における研究成果は以下の通りである。 1. 本研究で必要となる家庭用水道・ガス需要、医療支出などに関するデータを収集・整理した。また、これらのデータを整理するために必要なプログラムの作成を行った。 2. パネルデータに注目し、個体効果や動学的構造を考慮した新たな分位点回帰モデルの開発を行った。動学パネルデータモデルにおける初期値問題に対応するため、説明変数と相関を有する個体効果を分位点回帰モデルに導入した点が本研究の貢献の一つである。さらに、経済学でよく分析される打ち切りを伴うパネルデータや空間データに対する分位点回帰モデルへの拡張を行った。 3. 本研究で提案する分位点回帰モデルに対し、マルコフ連鎖モンテカルロ法による推定方法の開発を行った。昨年度の研究成果を適用することにより、パネルデータに対する分位点回帰モデルであっても、マルコフ連鎖モンテカルロ法の一つであるギブスサンプリング法によって容易に推定できることを明らかにした。このギブスサンプリング法は実行が容易な方法であることから、応用上に非常に有用な推定方法であると考えられる。さらに、シミュレーションや実際のデータを用いた分析から、提案する推定方法は既存の方法よりも効率的であることを確認した。 4. 1.で用意したデータを用いて、医療支出、水道・ガスの需要関数、景気循環の推定などを行った。これらの実証分析から、消費者の行動が分位点ごとに異なるなど通常の回帰分析では分からない新たな知見を得ることができた。これら研究成果の一部は海外雑誌に掲載され、学会においても報告されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究の目的」には6項目について研究を進めていくことが記載されている。そのうち、5項目が当該研究期間中に達成されていることから、(2)おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で提案する計量モデル・手法は非常に適用範囲が広いと考えられる。これらの有効性を示すため、理論的研究のみならず実証分析にもさらなる重点を置く予定である。
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Research Products
(12 results)