2010 Fiscal Year Annual Research Report
「新しい空間経済学」における基本的実証分析枠組の構築
Project/Area Number |
22330076
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 知也 京都大学, 経済研究所, 教授 (70283679)
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Keywords | 都市経済学 / 空間経済学 / 集積の経済学 / 中心地理論 / 自己組織化 |
Research Abstract |
(1) 本研究全般に用いる日米の産業・人口立地および地理データの収集・整備について以下のように進めた。 a) 産業データの整備:米国については1998年と2007年の北米標準産業分類(NAICS)4~6桁製造業、日本については、日本標準産業分類(JSIC)3桁分類製造業の米国郡・日本市区町村レベルの製造業事業所立地データを研究対象年について整備した。(当初予定していたNTT業種分類に基づく立地データは、1990年・2011年時のデータについて現在取得のための調査中である。) b) 都市圏データの整備:米国についてはCore Based Statistical Area (CBSA)、日本についてはCBSAに対応する金本・徳岡(2001)に基づく都市雇用圏(UEA)を、研究対象年について構築した。 c) 地理データの整備:対象期間に一貫して適用する、米国郡・日本市区町村に関する境界、可住地面積、および、道路網距離データを整備した。 (2) 研究協力者のTony E.Smith(ペンシルバニア大学)とともに、日米の産業集積パターンの比較に用いる基本的な分析手法の開発を終え、研究成果は平成23年10月発行のJournal of Regional Science誌に掲載される予定である(「11.研究発表」参照)。 (3) 北米産業分類(NAICS)の4桁製造業について集積検出・パターン分類、および、日本の製造業の場合と各産業について比較を進めており、本年度の研究成果は平成23年7月を目処に論文にまとめる予定である。特に、これまで国レベルで検証してきた経済集積パターンにおける秩序形成が、国という特定の空間単位に限らず、国内の経済圏単位でフラクタル的に創発していることが明らかにされている。このことは、個々の地域において実現する産業集積の空間分布が頑強な秩序で規定されていることを意味しており、従来のクラスター理論に基づく制度的考慮の他に、実際の立地パターンにより強く顕示されている持続可能な空間パターンを与件とした地域政策の重要性を示唆している。
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