2012 Fiscal Year Annual Research Report
貿易自由化と技術的貿易措置の多面的分析-消費者安全と経済発展のための制度デザイン
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22330077
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大槻 恒裕 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (40397633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
利 博友 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (40283460)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際貿易 / 経済発展 / 技術的貿易障壁 / 企業行動 / 消費者保護政策 |
Research Abstract |
平成24年度においては研究の目的及び実施計画に沿って、1、消費者に対する食品安全意識アンケート調査の実施、及び同データの整理・集計。2、細品目レベルの貿易データと食品安全規制データによるAIDS需要システムモデルによる日本の農薬・動物医薬品基準の食肉輸入需要への影響の分析。3、技術的貿易措置を含む国際的な貿易円滑化のグラビティモデル分析及び制度設計のためのシミュレーション分析を行った。3はとりわけ貿易関連の規制や自由化が未熟な南アジア地域について国別の政策シミュレーションを行い、具体的な政策提言に結びつけた。 さらに、当初計画外の新たな研究として、4、ベトナムでの技術的貿易措置やその他の品質基準に対する対応の仕方や技術進歩への外資の影響などに対する計量分析プロジェクトを立ち上げ、ベトナム統計局から過去11年間の企業サーベイデータを購入し、データの整理・集計を進めた。データは従業員10名以上の全ての企業から採取されたものであるため、ベトナムの産業全体の生産活動や技術進歩を観察でき、またサプライチェーンに着眼し輸出向けのサプライチェーンほど海外の技術基準や国際基準への準拠や研究開発活動が盛んかどうか、また、FDIの導入がさかんかどうかなど分析することができると思われる。5、直接貿易をテーマとして扱うものではないが、集計データを用いながら企業の品目別技術進歩を推定する新しい手法に関する論文を仕上げた。 また、24年5月から8月にかけて米国ワシントンの世界銀行の開発リサーチ部門で在外研究を行い、そこで、上記研究における専門家の貴重な情報やアドバイスを得ることができたため、研究の質を高めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要1~5の進展については以下のとおりである。 1については食品安全意識アンケート1000家計分のデータの収集は完了したが、データの整理・集計に多くの時間がかかってしまい、本格的なデータ分析を行えなかった。2は需要システムの分析方法を改善し結果をまとめた。論文として仕上げの段階にある。3は査読中であったが24年度内にSouth Asian Journal of Global Business Researchに刊行が決定された。4は研究に必要な企業の個票を入手し加工可能なデータ形式に変換した。しかしデータがベトナム語で記載されており、また膨大なためデータの整理がまだ進行中である。5は技術進歩の推定手順、応用例を示した論文がEmpirical Economicsに刊行が決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記研究実績の概要1~5の今後の研究の推進法策については、以下のとおりである。 1については、データを用いた分析及び論文の初稿の完成を目指す。2は論文を完成し学術誌に投稿する。4はデータの整理を早急に完了し、データ解析を始める。年度内にワーキングペーパーでの完成を目指す。
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