2010 Fiscal Year Annual Research Report
産業調整とFTAの最適シークエンシング:アジアにおける地域統合の動学的CGE分析
Project/Area Number |
22330084
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
利 博友 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (40283460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 健 名古屋市立大学, 経済学研究科, 准教授 (90405217)
大槻 恒裕 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 准教授 (40397633)
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Keywords | FTA / 産業調整 / 地域統合 / アジア / CGE分析 |
Research Abstract |
平成22年度は、11地域・26部門の動学的CGEモデルを構築し、2010~2030年の期間中、アジアにおける様々な自由貿易協定(FTA)のシークエンシングを想定し、その影響を評価した。暫定的結果として、(1)二国間FTAからASEAN+3FTAもしくはアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に進展するケースでは、中国とASEAN諸国が比較的大きな産業調整を経験する、及び(2)初期段階からより開かれたFTAAPを形成することによって、アジア諸国の経済厚生が比較.的大きく上昇し、構造調整コストを比較的小さく抑えることができることが示された。これらの結果は、二国間FTAを推進していくよりも、より開かれた自由貿易圏を推進してくことが望ましいことを示唆している。2010年10月にソウルで開催された東アジア経済学会で、これらの結果を発表した。 アジアにおける地域統合の影響を、ASEAN経済共同体(AEC)をケーススタディとして取り上げ、(a)関税撤廃、(b)貿易円滑化、(c)輸出対GDP比率の増加による生産性の上昇、(d)競争の促進による商業・運輸マージン率の減少の4つの要因に分け定量化した。AECについては、関税撤廃よりも、貿易円滑化及び競争の促進による商業・運輸マージン率の減少の経済厚生への影響が大きいことが実証された。 平成23年度は、今年度構築したモデルを22地域・29部門に拡張し、TPP(環太平洋経済連携協定)をFTAシナリオ及びシークエンシングに追加する予定である。また、サービス産業の非関税障壁の調査を行い、従価税換算値をデータベースに組み込む予定である。
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Research Products
(8 results)