2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジアの国際的生産・流通ネットワークにおける多国籍企業の役割
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22330087
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 福成 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (90265918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 敏弘 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (80510255)
松浦 寿幸 慶應義塾大学, 産業研究所, 講師 (20456304)
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Keywords | 生産・流通ネットワー / 企業ミクロデータ研究 / 多国籍企業 / 企業の異質性 |
Research Abstract |
平成23年度は、アジアの国際的生産・流通ネットワークにおける多国籍企業の役割を考察するために、平成22年度から準備を進めてきた理論的枠組みと新たに構築した企業データ・ベースを用いて、実証研究を進めてきた。 主な研究成果としては、グローバリゼーションの進展度合い、および、その経路を調べるために国境コストを推計した。近年、我が国の国境コストは低下しており、その一つの要因として海外直接投資の拡大が指摘される。次に、日本企業はどのような要因に基づいて投資先を決定しているのか分析した。今回の研究では、インフラの整備状況の違いなど詳細な地域属性をコントロールするため、県レベルの立地情報を利用して、立地選択の決定要因を分析した。分析結果からは、低所得の途上国でインフラの重要性が確認された。さらに、日本企業の特徴を明らかにするため、台湾の企業と日本企業を比較し、直接投資を行う企業の生産性についての比較分析も行なっている。東アジアでは、多国籍企業の生産流通ネットワークが重要であると指摘されているが、これを確認するために、海外直接投資の空間的な相互依存性について分析した。具体的には、空間計量モデルを用いて、日本企業の海外進出パターンを分析している。分析結果からは、情報通信機器製造業など工程間分業が進展している産業で、空間的な依存関係がみられた。 平成22年度から進めている、東南アジア諸国の集積地における企業のイノベーション活動に関するアンケート・データを用いた技術移転の決定要因、ならびに技術移転が企業パフォーマンスに及ぼす影響に関する分析については、結果の取りまとめと学術誌への投稿を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、いくつかの論文を完成させ、論文集に寄稿したり、海外ジャーナルへの投稿を始めるなど、少しずつ研究成果が揃い始めている。また、海外の研究者との打ち合わせも順調に進み、海外企業データを用いた研究も着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、3年目にあたるので実証分析の精緻化を図る。また、分析結果を取り纏めディスカッションペーパーなどの形で公表したり、学会等で報告することで論文の質を高めていくことに力を注ぐ。 なお、平成23年度中に、インドネシア、中国の企業レベル・データの入手を進めたので、平成24年度はこれらをデータベー化させ、本格的な分析を進めていく。
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Research Products
(24 results)