2011 Fiscal Year Annual Research Report
金融・資産市場の相互依存関係と、その資産運用・リスク管理への影響
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22330094
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
大橋 和彦 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 教授 (50261780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 文夫 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 教授 (80159095)
本多 俊毅 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 准教授 (70303063)
沖本 竜義 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 准教授 (70420304)
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Keywords | 商品先物 / 新興国通貨 / 最小分散ポートフォリオ / マルコフスイッチングモデル / 相互依存性 / 共和分 / 超過リターン |
Research Abstract |
平成23年度得た結果は以下の通り。まず、大橋は、全体を監督しながら研究分担者の情報共有に努めると共に、共和分関係を導入した商品デリバティブ価格モデルを完成させ、原油と暖房油のデータに応用した。その論文は、Journal of Futures Marketsに掲載されることになった。また、生産活動による関係を利用したCO2排出権価格モデルを発展させ、成果を海外の学会で報告した。林は、新興国通貨の先物投資について、リーマンショック後をもサンプル期間に含めた場合のパッシブとアクティブ戦略から得られる超過リターンを分析した。また、商品先物について、すでに構築していた理論モデルを精緻化し、そのモデルから示唆される投資戦略から得られる超過リターンの計算を行った。本多は、株式市場のボラティリティと、過去データからの推定値を利用した平均分散ポートフォリオの事後的なパフォーマンスを分析し、大域的最少分散ポートフォリオなど、代表的なポートフォリオ戦略の特徴を分析した。また、公的年金積立金運用の観点から、株式投資などのリスクに対する加入者間でのリスク負担について分析を行った。沖本は、平成22年度に引き続き、資産間の相互依存関係の変遷の分析を行った。具体的には、マルコフスイッチングモデルを用いて株式市場とSRI(Socailly Responsible Index)市場の依存関係の分析を行い、SRI市場には株式市場と同様にベア市場とブル市場と解釈できる2つの状態が存在すること、SRI市場と株式市場におけるベア市場とブル市場の間の状態推移はほぼ一致していること、SRI市場と株式市場の依存関係は状態にかかわらず非常に強いこと、などを発見した。これらの結果をまとめた論文は、Applied Financial Economicsに掲載された。また、そこで用いたマルコフスイッチングモデルと同様のモデルを応用し、日本の財政の持続可能性の分析も行った。その結果は、Journal of the Japanese and International Economiesに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全ての対象分野にわたり、当初の計画どおり分析は進んでおり、2年経過時点で既に合計6本の論文が査読付国際学術雑誌に掲載もしくは掲載が決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
過去2年間に達成した研究成果の発展と関連分野への拡張しつつ、金融・資産市場における相互依存関係について分析を継続する。平成24年度は最終年度となるので、結果の全体としての総括をしつつ、その後に取り組むべき研究課題の発掘にも力を注ぎたい。
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Research Products
(8 results)