| Research Abstract |
本年度は,ソーシャル・メディアの有効性を解明するため,ソーシャル・メディアの性質や利用実態の把握,利用状況に着目したモデル化を行った.ソーシャル・メディアによる組織・コミュニティの変革については,関連する研究成果や方法論についての解説論文を公表し,一つのまとめとした.具体的な研究成果の例としては,ソーシャル・メディアにおけるblog,Q&Aサイト,掲示板(HBS)等について,実態に基づく指標化やモデル化を行い,その有効性の解明を試みた.blogについては,その質に関する評価方法を開発するため,その内容における話題の広さや深さに着目した指標化を行ない,その適切さの確認を行った.この指標は,blogの質に着目したフィルタリングに貢献するものと考える.Q&Aのサイトについては,その情報や知識の蓄積や利用を活性化するための制度設計を検討するため,質問や回答を行う参加者の効用に着目したモデルを構築し,シミュレーションを行い,金銭的な報酬のあり方についての知見を得た.この知見は,Q&Aコミュニティの活性化を図る制度の検討に貢献するものと考える.掲示板については,インターネット株式掲示板の投稿内容指標化を試み,指標の有効性を確認した.株式市場の効率性に関し,ソーシャル・メディアのインパクトを解明する上で,意義のある研究と考える.ゲーム理論モデルやチーム理論モデルを基軸としたモデル構築やエージェント・ベースド・シミュレーションを行うことによって,組織コミュニケーションにおけるソーシャル・メディアの有効性についての条件の解明を試みた.その結果,断片性や移転粘着性のある情報や知識の移転問題についての知見を得ることができた.今後は,これらの研究成果をさらに積み重ね,ソーシャル・メディアの組織コミュニケーションにおける有効性を解明するとともに,その有効利用に関する方策を考察することとする.
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