2011 Fiscal Year Annual Research Report
持続的国際競争優位の動態的創出と国際標準化技術との関係性に関する研究
Project/Area Number |
22330113
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
内田 康郎 富山大学, 経済学部, 教授 (90303205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 倬史 国士舘大学, 政経学部, 教授 (50156444)
井口 知栄 立教大学, 経営学部, 助教 (20411209)
荒井 将志 杏林大学, 総合政策学部, 講師 (70549691)
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Keywords | 国際基準 / ダイナミック・ケイパビリティ / 持続的競争優位 / ビジネス・エコシステム / オープン・イノベーション / 知財 |
Research Abstract |
本研究は、国際標準化に向けた技術の開発プロセスにおいてみられる「プラットフォームの構築」と「外部資源とのインテグラルな統合」を調査の中心に置きながら、競争優位性の源泉を長期的に維持する組織能力を解明することを研究目的としている。 近年、さまざまな業界の垣根を越えた業際化が進む中、企業にとっては自社を中心に据えた視点でのビジネスモデルから、外部のコンピタンスをも統合・調整することのできる共生的な企業間関係を前提としたビジネスモデルへと重心が移ってきている。実際に、国際標準の策定プロセスにおいては、外部の知財との擦り合わせ作業を通じてイノベーション活動が進められつつある。本研究は、このイノベーション活動に注目し、「標準化プロセスにおけるプラットフォームの構築」が、動態的な国際競争優位、すなわちダイナミック・ケイパビリティの持続化に対してどのような効果を持つのかについて、新たな見解を提示することを目的としている。 その目的に向かい調査を続けていく中で、われわれは次の仮説を見出すこととなる。すなわち、企業は自社の技術開発システムを従来型の「クローズドな技術開発と技術管理システム」から「オープンな技術開発と技術管理システム」への転換を余儀なくされるだろうというものであり、平成23年度はこの仮説に沿った実証的作業が行われた。 具体的には国内や海外企業へのヒアリングを実施するのと並行し、企業間のオープンな技術連携を目指す国際標準開発機関「GS1」へのヒアリングを実施している。また、米国で開催された同機関の総会にも出席することができ、運営主体側だけでなく、この機関に参加する企業へもヒアリングするなど、オープンな環境のもとに進められる標準化プロセスを実感できる機会を得ている。これにより、上記の仮説を実証する上で大きな手がかりとなっている。 なお、これまでの成果から公表できる部分は精力的に公表している。具体的には、論文4編(内2編は査読付き海外ジャーナル)、学会発表9件(内6件は国際学会)となっており、詳細は下掲に示す通りである。 今後は、「知財のオープン化とビジネスモデル」という視点から調査を続けていくことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述したように、現時点において仮説を実証する上で有力な手がかりを得ることに成功していること。また、国内および海外の査読着き雑誌に、これまでの成果の一部が掲載されることなどが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度となるため、成果をまとめることと同時に、精力的に対外的な発表を実施する。
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