2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22330116
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Research Institution | Advanced Institute of Industrial Technology |
Principal Investigator |
吉田 敏 産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (00451881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 哲夫 産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (70433175)
小山 登 産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (70448009)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 設計プロセス / 生産プロセス / 建築生産 / 技術経営 |
Research Abstract |
本年度の具体的な対象として、建築を取り上げてきた。具体的には、「住宅」、「集合住宅」、「工場」、「市庁舎」を対象としてきた。建築を取り上げるうえで重要なのが、作り手と使い手の視点を明確に分類しながら議論することと同時に、設計段階と施工段階を分けて議論することであった。そのために、建築設計者、建築施工者に協力を求めながら、この二つのプロセスに分けつつ、それらの特性について考察しながら、理論的側面と感覚的側面について繰り返し議論を行ってきた。 結果として、ここで対象とした4つのビルディングタイプが、極めて異なる特性を持っていることが浮き彫りとなってきた。特に、使い手の要望から見た各対象の特性が極めて大きな差異を生じていることが理解でき、それを理論的にまとめることができた。また、このビルディングタイプごとに異なる特性の差異は、自動車とコンピュータのように異なる製品分野間の違いに匹敵するくらい大きなものであったことが示された。 以上の内容について、本年度は、国際学術会議のPICMETで2題の論文として報告し、同時に「技術経営 -MOTの体系と実践-」(理工図書)という書籍の出版に含まれる形でまとめることができた。PICMETでの報告については、ケンブリッジ大学との共同研究としてまとめることができた。また、出版物に関しては、技術経営の実践的理論としてまとめ、考え方の普及にも講義や講演会を通して進められているものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基本的な方針として掲げているのは、国内の製品事例を取り上げ、設計プロセスを精査していくということである。そのために、製品の分析、開発者へのインタヴュー、類似製品の動向により、設計プロセスに潜む問題点を抽出していくものである。 対象は、製品開発コンセプトがデザイン性を中心のものと、機能性中心のものを二つずつ取上げるものである。その中で、各製品分野の中で代表的且つシェアが大きい製品を抽出し、多方面の情報を収集し、比較を含めた分析を行なうものである。 これまでのところ、「空調機」、「衛生陶器」、「ユニットバス」、「エレベータ」、「オフィス家具」、「建築」などを中心に、基本的に予定通りに議論が進められ、ユーザー視点の新規的な見方である「発生機能」の重要性と、その実践的活用について、対象ごとに徐々に実践的な提案を行いつつある。これらは、当初の方針より充実した結果を導くことに成功していると考えられる。 ただし、足りない部分は国際間比較であり、これは残りの2か年の中で進めていくことが必要である。現在、英国のケンブリッジ大学IfMとの共同研究の準備が整いつつあり、25年度は、このような国際間比較について議論が進目ることができる下地が整った。 以上の内容から、本研究は、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、上記の内容の通り、国際間比較を進めつつ、当初の研究目的である各製品における、理論的側面と感覚的側面を分析し、その評価手法を確立していく。 方向性は当初から一貫している。これまでの研究領域が、互いに踏み込み難かった理論的側面(領域)と感覚的側面(領域)の根本的な融合を試行する。これらの両領域では、どちらか一方に特化した思考を持つ研究者が多く、個別の研究者が両領域を体系化していくことは困難であると考えられるため、理論的領域と感性的領域の個別課題に対してそれぞれ得意と考えられる研究者を中心として議論を行う。また、それらの個別課題に対応するとき、それぞれ逆の領域の考え方を行ってきた研究者が必ず議論の相手役としてグループを形成する形を取るものとする。最終的には、両側面を総括的に捉えるために、総括的議論を加える。25年度はこれまでの研究の見直しと共に、国際的な研究視点を導入することによって、国内視点に偏ったところを矯正していくものである。特に、現在共同研究の準備が進んでいるケンブリッジ大学は、英国人が多いこともなく、まさに世界中から異なる国の研究者が集まっており、俯瞰的に研究結果を議論しながら、論理性の高い研究結果を導き出すことができると考えている。また、このIfMという機関は、国内ではほとんど存在しない種類の機関であり、工学、経営学、経済学、デザイン学などの研究者が在籍し、現在、各産業が直面する問題を、既存学術分野の境界線を意識することなく議論することができる環境が整っている。本年度は、このIfMの研究者との共同研究を視野に入れながら進めていくものである。
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Research Products
(5 results)