2013 Fiscal Year Annual Research Report
社会におけるメディアの役割:東・東南アジアの国際比較研究の視点から
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22330156
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤田 真文 法政大学, 社会学部, 教授 (60229010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 耕 東海大学, 文学部, 教授 (30269633)
相良 剛 明治大学, 文学部, 講師 (60386414)
吉村 真子 法政大学, 社会学部, 教授 (80247113)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 東アジア / 東南アジア / マス・メディア / 中国:マレーシア:インドネシア / テレビ番組 / 新聞記事 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究の理論枠組みの構築 研究課題全体の理論枠組みを構築するため、研究代表者はマス・メディア論、言説分析などの方法論、研究分担者は地域研究とそれぞれの領域からの議論を深めた。東アジア、東南アジアにおけるトランスナショナルなテレビ番組の受容状況を見ると、先進国のメディア産業が途上国のメディアコンテンツを席巻し、途上国の人々の価値観を支配するというような、単純な「文化帝国主義論」では分析しきれない現状が惹起している。トランスナショナルな、メディアコンテンツの流通をとらえる理論枠組みを、トムリンソンの『文化帝国主義』やカルチュラル・スタディズの業績に沿って整理した。 2.東・東南アジアにおける現地調査・資料調査と資料分析 前年度に引き続き、研究課題に関わる下記の現地調査を実施した。1)東アジアにおける社会の構造変化と文化交流の変遷について、日流・韓流・華流の相互作用の現況を把握するために、中国・上海市におけるマス・メディア教育と放送産業の関係について資料分析を行った。2)マレーシアにおいては、同国のルックイースト(東方)政策の歴史と今後の展望を、日本-マレーシア関係を中心に現地調査し、ルックイースト(東方)政策の中で、特にメディア政策がどのように位置付けられているかを分析した。3)インドネシアにおいては、民間放送のネットワーク化の実態を地方局を中心に現地調査した。その結果、地方局同士の水平的な連携においては、バリTV、J-TVといった有力メディア資本が中心となっており、対等、平等な関係性に基づくものとは言いがたいことがわかった。両局はそれぞれ新聞社を基幹とするメディア・コングロマリットであり、地方に根ざすとはいえ、情報の寡占化が進んでいることがわかった。地方局側の経営事情は必ずしも良くはなく自立は難しいと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の2つの焦点である「全体の理論枠組みの構築」「東・東南アジアにおける現地調査・資料調査と資料分析」について、各担当者が現地調査などで着実に成果をあげている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)共同研究と研究成果の共有:共同研究を推進するとともに、前年度の調査で収集した情報や研究成果を共有し、研究グループ全体での議論を展開していく。 (2)東・東南アジアにおける現地調査・資料調査: 現地調査:研究課題に関わる現地調査を、引き続き実施していく。予算と滞在期間を考慮して、東・東南アジアにおける調査(および追加調査)を設定する。 資料調査:1)各研究テーマや専門領域と関連のあるメディア関係資料を、地域比較・学際性を考慮して、意欲的に収集する。2)各事例にとって必須の第一次資料を渉猟する。3)インタビュー調査などによって、研究グループ独自の資料を作成する。4)本研究のテーマに関連した映像資料・画像などを収集する。
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