2011 Fiscal Year Annual Research Report
「血液の安全性」の社会学的研究―「薬害HIV」の多声的記述
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22330165
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
種田 博之 産業医科大学, 医学部, 講師 (80330976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘭 由岐子 神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (50268827)
寺山 範子 東海大学, 健康科学部, 准教授 (60336469)
本郷 正武 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40451497)
南山 浩二 静岡大学, 人文学部, 教授 (60293586)
山田 富秋 松山大学, 人文学部, 教授 (30166722)
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Keywords | 社会学 / 医療 / 薬害 / 安全 |
Research Abstract |
本調査研究は、非加熱血液製剤によるHIV感染被害事件-いわゆる「薬害エイズ」事件-に関する先行の社会学的研究の成果を継続・発展させ、「薬害エイズ」についての多声的記述、言い換えれば、当事者たち-医師・血友病患者・その家族・製薬会社など-の様々な「リアリティ」についての記述を聞き取り調査や様々な資料の分析から目指すものである。本年度は、「血液製剤供給者(日本赤十字社など)」、「看護師」、そして血友病患者の「家族」に対し調査を実施した。 例えば「血液製剤供給者」への調査から、以下のことが見えてきた。血液製剤供給者にとって、血液事業を遂行していくうえで「倫理・安全・供給」が基軸であった。しかしながら、この3つの軸は相互背反関係に入ってしまうことがあった。そのため、血液製剤供給者は血液事業を遂行していくうえで、例えば安全と供給との間でのジレンマなど、様々なジレンマに直面することになった。そうしたジレンマのなかにあったことで、血液製剤供給者はAIDS対策に対して積極的な役割を担え損なうことになってしまったと思われる。 また、世界血友病連盟が主催したグローバルフォーラム(The Seventh WFH Global Forum on the Safety and Supply of Treatment Products for Bleeding Disorder)-供血者スクリーニングのあり方や血液製剤使用の国際間比較などが議論されていた-にも参加し、資料収集をおこなった。こうして得られた資料から、「薬害エイズ」をはじめとする「血液の安全性」の問題についての論点(日本固有の問題か否かなど)が見えてくると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血液製剤供給者、看護師、そして血友病患者の家族に対しての調査は、そうした人たちのご協力により、お話をうかがうことができているし、またその他関連資料も提供していただいている。そうして得られたデータないし資料が、研究代表者や分担者の学術集会報告につながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、聞き取り調査などを通して、データないし資料の収集にあたる。そして、その整理と分析をおこない、最終報告書を作成する。また、その分析結果を、学術集会にて報告をおこなう。 とくに聞き取り調査で得られたデータは、情報提供者の了承を得たものについては、トランスクリプトのかたちで一般公開できるようにしたい。 日本で起こった「薬害エイズ」について海外に向けて情報発信すべく、世界血友病連盟国際会議において調査結果などを報告する(その報告のエントリーはすでに完了している)。
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