2012 Fiscal Year Annual Research Report
「血液の安全性」の社会学的研究―「薬害HIV」の多声的記述
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22330165
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
種田 博之 産業医科大学, 医学部, 講師 (80330976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日笠 聡 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10289077)
山田 富秋 松山大学, 人文学部, 教授 (30166722)
本郷 正武 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40451497)
蘭 由岐子 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (50268827)
中塚 朋子 奈良女子大学, 大学院人間文化研究科, 博士研究員 (50457131)
南山 浩二 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (60293586)
寺山 範子 東海大学, 健康科学部, 准教授 (60336469)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 「薬害エイズ」 / 血液事業 / 血友病患者とその家族 / リアリティ / 安全 |
Research Abstract |
本研究は、いわゆる「薬害エイズ」に関する先行研究の成果を継続・発展させ、「薬害エイズ」についての多声的記述を、言い換えれば、当事者―血液事業者など―の「リアリティ」についての記述を、聞き取り調査や様々な関連資料の分析から目指すものである。本年度は、引き続き、血液事業者や血友病患者の家族に対し、追加調査をおこなった。収集したデータを分析し、冊子版(総頁数352頁)の報告書にまとめた。 冊子版の報告書に収録した論文における分析例を一つ挙げる。例えば、血液事業者への調査から、以下のことを明らかにすることができた。日本の血液事業は、「善意の必要性」、「安全性」、「倫理性」、そして「安定供給」を規範とし、遂行されてきた。しかし、時に、規範の間で対立がおこることがあった。「薬害エイズ」以前(1970年代後半)、「善意の必要性」対「安定供給」という社会学的アンビバレンスが生じ、「安定供給」のほうへと舵をきっていた。エイズが現れると(1980年代前半)、今度は「安全性」対「善意の必要性」、「安全性」対「安定供給」という社会学的アンビバレンスが生じた。血液製剤の供給に穴をあけることはできないなどの理由から、「善意の必要性」と「安定供給」がそれぞれ選択されることになった。こうして、結果として、日本の血液事業はエイズ対策を失敗するにいたったのである。 血友病の患者会から講演依頼されたり、厚生労働省から検討会の参考人として招聘され、積極的に情報発信もおこなった。また、海外に向けても情報発信をおこない、例えば世界血友病連盟(血友病患者の世界的組織)の国際会議にて、日本の「薬害エイズ」についての分析の紹介や、日本の血液事業の状況についての報告をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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