2011 Fiscal Year Annual Research Report
障害者に対するケアマネジメントにおけるソーシャルキャピタル概念に関する実証的研究
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22330170
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小澤 温 筑波大学, 人間系, 教授 (00211821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 智子 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (40408969)
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Keywords | 障害者 / ケアマネジメント / ソーシャルキャピタル |
Research Abstract |
23年度は、障害者(身体障害、知的障害、精神障害)に対するケアマネジメントおよび社会福祉学分野における「ソーシャルキャピタル」概念に関する国内および国外(主に、アメリカ、韓国)の文献資料のより詳細な整理を行った。さらに、ケアマネジメントモデルにおけるインフォーマルな社会資源の内容の整理とソーシャルキャピタル概念との関係、および、ケアマネジメントを用いた事例の分析を通してエンパワメントとソーシャルキャピタルとの関係の整理、を目的に研究を実施した。 ケアマネジメントモデルとしては、パーソンセンタードプランニング(以下、PCP)とストレングス・ケアマネジメント(以下、SCM)に焦点をあて、その理論的な整理を行い、このモデルをもとに事例分析を実施した。その結果、PCPとSCMのいずれの手法もエンパワメント達成のために(ソーシャルキャピタルに関連する)インフォーマルサポートの有効性が示された。あわせて、自立生活をしている重度障害者に関するケアマネジメントモデルに関する文献収集と理論的な整理を行い、事例分析により考察を行った。その結果、重度障害者の地域自立生活の遂行するためには、地域環境においてソーシャルキャピタルの豊富な地域での生活の重要性が示唆された。また、精神障害分野におけるソーシャルキャピタルの有効性を検討するために、韓国における精神保健福祉活動の把握と当事者のクラブハウス活動に焦点をあて、韓国におけるクラブハウスの実践活動に関して地域との関わりに焦点をあてた事例調査を実施した。この課題では、今後、さらに日韓両国のソーシャルキャピタルの違いに焦点をあてたクラブハウス活動の比較研究を深める必要があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
障害者に対するケアマネジメントに関する文献資料はアメリカにおいて豊富であり、わが国でもかなり文献が増えてきているが、韓国およびイタリアに関しては文献資料が少ないこともあり、当初の予定より遅れている。ただし、ケアマネジメントモデルの事例分析による検討は、実践機関の協力も得られており、順調に分析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
障害者に対するケアマネジメントとソーシャルキャピタルに関する文献資料は次年度も持続的に収集する予定であり、収集された文献資料の整理と理論的な考察を進める予定である。PCPおよびSCMに基づいたケアマネジメントモデルを実践している実践機関と地域に関しては、次年度も新たな機関が協力する予定であり、事例の整理と地域間の比較が可能になる。地域間の実践事例比較を通して、ケアマネジメントにおけるソーシャルキャピタルの有効性をより深く分析する予定である。
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