2012 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルワークの展開による小地域の福祉ガバナンス確立に関する理論的・実証的研究
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22330173
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
上野谷 加代子 同志社大学, 社会学部, 教授 (40123583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
所 めぐみ 佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (00411281)
武川 正吾 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (40197281)
山井 弥生(斉藤弥生) 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40263347)
和気 康太 明治学院大学, 社会学部, 教授 (50257060)
松端 克文 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (90280247)
永田 祐 同志社大学, 社会学部, 准教授 (90339599)
野村 裕美 同志社大学, 社会学部, 准教授 (90411058)
室田 信一 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (00632853)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 福祉ガバナンス / 小地域 / 地域を基盤としたソーシャルワーク / 福祉コミュニティ / 地域内分権 / ケア / ヴィネット調査 / 6か国の国際比較 |
Research Abstract |
本研究の3年目である。研究チームは「ソーシャルワークの展開によって、小地域のガバナンスが形成される」との仮説に基づいて、ここ2年間次のように研究を進めてきた。 1年目は、ガバナンスとガバナンス形成、とりわけ小地域に焦点を当て、その概念の整理と小地域における地域組織化や包括的ケアのありようについて研究を進めてきた。2年目は、ケアにおけるソーシャルワークの展開が当事者の自立、問題解決にどのように貢献するのかの基礎的データを収集するために、モデル事例を用い、韓国、ノルウエ―、アメリカ、イギリスへの訪問調査を実施した。調査の結果から、事例に対して、各国のソーシャルワーカーの取り組み方の違いと、どの国においても同様のソーシャルワークの原則的な関与などが明らかになった。 そこで、本年度は、日本におけるソーシャルワーカーの同事例に対する接近方法や取り組み方に関して、調査をすることとなった。本研究チームの関心事である、ガバナンス形成はソーシャルワーカー自身の情報・技術習得力、理解力、自己覚知力、調整力、協働力、など自己統治力(セルフガバナンス)を通して、総体としての実践力を形成することができる。つまり「ケアのガバナンス」として結実するとの仮説から、研修の位置づけを、1、調査と2、研修の2つの目的を同時に達成する中でガバナンス能力を測り、能力を形成しようとした。2つの実験的な研修から、今回の取り組みの限界と今後への方向性が明確になった。 一方、昨年度の海外調査の補足調査として、イギリス調査を実施した。詳細は別紙報告とするが、本調査により小地域のガバナンス形成におけるソーシャルワークの目指すものが明確になりつつあることと、ソーシャルワークの展開過程にも一石を投げかける結果を得ることができた。 4年目の最終年は、3年間のまとめのための研究会、出版に向けさらに充実した研究を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究実施計画で掲げていた5つの目的、①小地域単位の「福祉ガバナンス」の概念を明確化し、日本国内の事例を類型化すること、②小地域における「福祉ガバナンス」構築におけるソーシャルワークの機能、③住民の生活課題を解決する上でのソーシャルワークの展開、④「福祉ガバナンス」の形態が異なる国の小地域との比較検討、⑤日本におけるソーシャルワーカーの事例に対する接近方法や取り組み方に関する研究(研修形態)、の5つの中で、主として④と⑤を中心に研究を行った。 ④については、国際比較の分析検討を深めるために補足調査を実施した。イギリスを訪問し、ソーシャルワーカーとソーシャルワーカー養成機関(大学)の教員を対象に質的研究方法を用い調査を行った。また、⑤については、質的調査と研修を併せ持った形態の研究として実施した。本年度まで当初掲げた目的がおおむね達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本研究の4年目で最終年度である。3年間のまとめのための研究会、出版に向けさらに充実した研究を実施する予定である。 4年間の本研究の成果については、出版物として公表する(『福祉ガバナンスに求められるソーシャルワーク-ビネット調査からみえてきたもの』(仮)と翻訳書1冊)とともに、国内外の関連学術大会にて口頭発表等を予定している。 さらに、イギリスのソーシャルワーク研究者らを招いて研究講演を開催(仙台、東京、京都)し、国内外研究者間の情報交換及び国際研究者交流を実施する。
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