2011 Fiscal Year Annual Research Report
保育の場、学校、企業における発達障害に関する理解教育プログラムの開発
Project/Area Number |
22330186
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳田 克己 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30197868)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 智美 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90330696)
西館 有沙 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (20447650)
|
Keywords | 発達障害 / 障害理解 / 研修 |
Research Abstract |
①関東及び沖縄県の幼稚園あるいは保育所に勤務している保育者401名を対象に無記名式質問紙調査及び機縁法による直接ヒアリング調査を実施した。その結果、担当クラスの障害児の特性や接し方について、周囲児に話をしたことがある保育者が30%(122名)いたこと、なぜ周囲児に障害児について説明しようと考えたのかを尋ねたところ「周囲児から、障害児の行動について質問されたから」と答えた者が最も多かった(62%)こと、障害児について周囲児に説明する際にどのようなむずかしさがあるのかを尋ねたところ、「自分は守らなくてはいけないことを障害児が守らなくても許されていることについて、子どもが納得しない」と答えた者が最も多いこと(35%)が明らかになった。 ②小学校教員187名に対する無記名式質問紙調査を実施した。その結果、小学校教員の多くは発達障害児もしくはその疑いのある子どもを担任した経験をもっていること、ほとんどの教員が発達障害児について他児の理解を促す必要性を感じていたこと、多くの教員は、発達障害児とクラスの他の子どもたちとの間に何らかの問題が起こった際に指導をする必要があると答えており、発達障害児がクラス内にいるかどうかや問題の有無にかかわらず理解を促す指導が必要と考える者は半数に満たなかったことが確認された。 ③中学校教員226名に対する無記名式質問紙調査を実施した。その結果、小学校教員に対する調査結果とほぼ同様の結果が得られた。 ④海外調査によって、欧米の障害理解教育先進国においては、発達障害者の権利を十分に保障しようとする視点のある理解教育が実施されていることが確かめられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関東及び沖縄県の幼稚園あるいは保育所に勤務している保育者を対象に無記名式質問紙調査を実施した。また、機縁法による直接ヒアリング調査を実施した。その結果、担当クラスの障害児の特性や接し方について、なぜ周囲児に障害児について説明しようと考えたのかを尋ねたところ「周囲児から、障害児の行動について質問されたから」と答えた者が最も多かった(62%)こと、障害児について周囲児に説明する際にどのようなむずかしさがあるのかを尋ねたところ、「自分は守らなくてはいけないことを障害児が守らなくても許されていることについて、子どもが納得しない」と答えた者が最も多いこと(35%)が明らかになったことは研修プログラム作成に大きな意義があった。 また、小学校教員と中学校教員に対する無記名式質問紙調査を実施し、その結果として、教員の多くは発達障害児もしくはその疑いのある子どもを担任した経験をもっていること、ほとんどの教員が発達障害児について他児の理解を促す必要性を感じていたこと、多くの教員は、発達障害児とクラスの他の子どもたちとの間に何らかの問題が起こった際に指導をする必要があると考えていたことなどが明らかになった点は、具体的な研修プログラム作成の大きな資料となった。 海外調査によって、欧米の障害理解教育先進国においては、発達障害者の権利を十分に保障しようとする視点のある理解教育が実施されていることが確かめられ、プログラムのモデルを入手できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
中学生に対する発達障害理解教育プログラムを作成した上で、1校4クラスのそれぞれにおいて授業を実施し、その効果を事前事後法による質問紙調査によって測定する。それによって、作成したプログラムは、発達障害の大きな特徴の一つである「感覚異常」の知識を増やし、たとえ自分とは異なる感じ方(音、皮膚、味)をしていても特異な存在とはみなさないという態度を形成するに有効であることが確かめる。 保育者に対して、6回に分けて発達障害理解プログラムを用いた講座を開催し、効果を測定する。その結果として、「子どもがわかる保育を提供する」ことに焦点を当てた保育者向けの発達障害理解プログラムは、極めて高い研究効果を有することが確認したい。特に、問題行動の対処や偏食に対する指導において効果を検証したい。 発達障害児の学校生活を描いた物語の内容分析を行い、小学校・中学校の教師の研修用教材として活用する可能性を検討する。 海外調査によって障害に関する理解教育の資料を収集し、発達障害のとらえ方は文化によって差があるかどうか、発達障害のある子どもに対して厳しく指導することが効果的であるとされている国や地域にはどのような文化・宗教的背景があるかを検証する。
|
Research Products
(5 results)