2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22330198
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩入 諭 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (70226091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗木 一郎 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (80282838)
松宮 一道 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (90395103)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 運動視 / 運動残効 / 視覚 / 心理物理 / fMRI / 脳科学 / 認知科学 / 視覚経路 |
Research Abstract |
本年度は、以下の進捗を得た. 1. 脳活動計測については,心理物理実験と直接比較できる手法を用いる必要がある.2つの運動刺激を重ねることでそれぞれに対する選択的な運動残効を測定する重畳運動残効法は,静止刺激をテストとするためにそのままでは,脳活動の記録には適さない.運動方向の応答時間それに対応する方法を確立し,運動残効の計測を可能とし,速い運動遅い運動の他,輝度運動と色運動への適用も可能であることを示した. 2. 応答時間測定法を利用した運動処理関連神経基盤の検討を開始した.比較的明確な分離が確認されている,輝度情報の動き(輝度運動)と色情報の動き(色運動)について実験を行った.それによって,輝度運動順応後の輝度運動信号に対する効果および色運動順応後の色運動信号に対する効果(選択的順応効果)を示唆する脳部位と,輝度運動順応後の色運動信号およびその逆の組み合わせに対する効果(相互順応効果)を示唆する脳部位を確認することができた.これらの点は,被験者の注意状態の制御,fMRIのBold信号のノイズ除去などを進めることで明確にできると考えている.また,同様の実験を遅い運動と速い運動に対して,行うための準備を進めて,上記のノイズ除去を可能とした段階で,実験ができる状況を整えた. 3. 自然映像統計解析の手法を,視線を移動し行動しながらものを見ている状況に拡張する必要がある。これまでの研究から,視線計測に頭部運動が影響することがわかっているため,頭部運動が顕著に生じる条件を避けることができる実験条件の設定が望まれた.今年度は,頭部方向による視線計測精度への影響を考慮するため,頭部運動と眼球運動の協調運動のデータの分析を行い,視線移動がある範囲(左右30度程度以内)であれば,頭部運動の比率は小さいとの事実から,実験条件の検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅い運動検出器の特徴として,奥行運動との関連で大きく成果をあげることができ,その処理過程の理解が予想以上に進展した。fMRIの測定は予備的な検討に時間がかかったが,データが蓄積されつつ有り明確な成果獲得の見通しが立った。画像の統計的性質については,研究方法の検討が終わり,実際の計測が可能となった段階であるが予定より遅れている.そのため全体としてはやや遅れていると評価しているが,進んでいる分野のリソースを遅れている分野に配分しつつ進めることで,計画通りの成果を実現する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は最終年度となるが,fMRIによる関連脳領野の同定に注力するとともに,日常生活における網膜情報の統計解析について精力的に進める.fMRIの実験は,これまでの研究で見通しが立っているので,実験の実施によりデータ収集がこれからの主な作業である.網膜情報の解析は,視線移動の影響を的確に考慮する必要があり,その点の技術的問題の解決を行う.特にこれまでの成果を踏まえ,頭部運動の少ない視線移動範囲(30度以内)で測定することで,精度の良い視線計測を可能とする.その上で会話,歩行,運転,食事を中心とした生活環境で,視線移動,頭部運動を計測し,網膜情報の取得,解析を行う。
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Research Products
(12 results)