2010 Fiscal Year Annual Research Report
情報統合としての共感覚的認知に関する認知心理学的研究
Project/Area Number |
22330199
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横澤 一彦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20311649)
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Keywords | 共感覚 / 情報統合 / 認知心理学 / 感覚間相互作用 / 高次視覚 / 統合的認知 |
Research Abstract |
3つのテーマに分け、お互いに有機的な関連を持たせて取り組んだ。具体的には、第1に共感覚の研究基盤の確立、第2に共感覚者の協力を得た色字共感覚に関する研究、第3に共感覚的認知の一般性に関する研究である。 第1には、共感覚の研究基盤として、(1)共感覚者の確保手段、(2)共感覚実験環境の整備、(3)共感覚研究成果の発信法の確立が必要であった。共感覚者の確保に関して、インターネットによる募集を続けており、随時複数名(10名程度)の日本人の色字共感覚者の協力が得られる体制を整えた。共感覚実験環境に関しては、色彩や提示時間など厳密な心理実験を遂行するための認知心理実験群を整備した。具体的には、共感覚色選択実験、ポップアウト実験、共感覚タイプ判別実験などである。また、眼球運動測定実験環境も整えた。共感覚研究成果の発信法の確立に関しては、国内外の学会で成果を発表するとともに、一般社会が共感覚を正しく認識するようにメディアやインターネットを通じた情報発信を続けている。 第2に。色字共感覚に関しては、多字種を用いる日本語の特性を利用し、仮名や漢字などに関する色字共感覚特性として、意味や読みの関与を明らかにした。また、7千人を超える共感覚に関する意識調査を実施したので、今後詳細な分析を進める。 第3に、共感覚的認知の一般性に関して、非共感覚者に対して、語彙処理に潜在的な共感覚的認知が存在することをつきとめたので、今後その詳細を明らかにする。
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