2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22330201
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
大谷 芳夫 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (00192518)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
V・T・G Jakobus 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (30362586)
|
Keywords | 実験系心理学 / 視覚心理学 / 心理物理学 / 視覚計算論 |
Research Abstract |
ヒトの視知覚特性の解明において、刺激画像の統計的特徴との関係を解析する手法の有効性が示されてきた。本研究では、従来静的な画像を主な対象として行われてきた解析を、網膜上で刺激画像が動く動的な状況に拡張し、さらに網膜や視覚野レベルの神経活動によって表象される画像情報の統計的特徴に着目して、画像情報の特徴と視知覚特性との関係を説明する計算論的モデルを構築することを目的とした。 平成23年度は、まず、平成22年度にインターネットから収集し基本的画像統計量(輝度分布の平均、分散、歪度、尖度)と2次元空間周波数特性を解析した、解像度の高い芸術画像と自然画像各100枚から適当なものを選択し、静止画像として刺激を提示する条件と、動画として提示する条件で、画像に違いがあるかどうか(動き自体の有無ではなく、「動画像が静止画像と同じ画像か、あるいは動画像には静止画と異なる特徴があるか」の検出)の判断を求める心理学実験を行った。しかし、本研究の端緒となった、極めて高い輝度コントラストと空間周波数成分を持つBridget Rileyによるオップ・アート作品'Fall'の様な画像とは異なり、今回使用した画像群では、動きの有無による視覚的特徴の変化が、被験者内及び被験者間で安定して生じる例が見られなかった。この点について、既に収集済みで今回の実験に使用しなかった画像も含め、画像の輝度コントラスト、空間周波数成分、及びその両者を操作する画像処理を行って、新たな刺激画像を作成中である。この新規作成画像ができ次第、再度実験を行う予定である。 また、この作業と並行して、研究分担者らが開発した錐体活動の時空間マップを求めるモデル、及び、平成22年度の検討の結果、同モデルを効率的に近似することが明らかになったガウスフィルタリングの手法をもとに、平成24年度に予定している第1次視覚野の単純細胞レベルでの活動マップを求あるモデルの構築に向けて、モデルの骨格部分の構築を進めた。現在は、錐体レベルと第1次視覚野レベルの間に存在する、網膜神経節細胞レベル(網膜出力段階)の応答特性に関するモデリングがほぼ完了した段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた心理学実験に関しては、刺激画像の再作成が必要となり、やや遅れているが、計算論的モデル構築に関しては、24年度に予定していた作業を一部前倒しで実施することができた。研究全体としては、おおむね順調に進展していると評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
再作成中の刺激画像群を早期に完成させ、心理学実験の実施を早急に行う。これと並行して、モデル構築の作業を引き続き推進する。
|
Research Products
(3 results)