2011 Fiscal Year Annual Research Report
移行支援実践におけるコミュニティ・エンパワメントモデルの開発ー若者支援を中心に
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22330208
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮崎 隆志 北海道大学, 大学院・教育学研究院, 教授 (10190761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大高 研道 聖学院大学, 政治経済学部, 教授 (00364323)
石黒 広昭 立教大学, 文学部, 教授 (00232281)
藤野 友紀 札幌学院大学, 人文学部, 准教授 (60322781)
向谷地 生良 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (00364266)
武田 るい子 清泉女学院短期大学, 教養部, 准教授 (20442171)
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Keywords | コミュニティ・エンパワメント / 生成コミュニティ / 差異のコミュニティ / 生成コミュニティ / 分散型リーダーシップ / 相同性 |
Research Abstract |
今年度の課題は、コミュニティ・エンパワメントの第一次類型の析出か課題であった。大阪府箕面市北芝地区・和歌山市麦の郷・釧路市地域生活支援ネットワークサロンの事例に絞り込んで、「差異のコミュニティ」における生成的側面の成立条件について検討した。 三事例に共通する特徴は、意思決定の組織内分権化と対話的関係(当事者-職員、職員-役員)の定着、および分散型のリーダーシップにあった。一見すると各アクターが自由にふるまい、組織としては無原則にも見えるような柔軟な実践構造を持ちながら、同時に総体としての統一性が保たれている理由はここにある。その結果、当該コミュニティは「差異のコミュニティ」としての自由度を保持しながら、活動領域を拡張し、外部コミュニティとの交渉を展開させ、個々の参加者はコミュニティの拡張に伴い自己の活動領域を拡張していくことができていた。 これを当事者の側からみれば、自己の活動領域の拡張を媒介するコミュニティの生成と言えるが、このようなエンパワメントの論理について、2011年9月に開催されたInternational Society for Cultural and Activity Research大会(ローマ)で発表した。また、箕面市北芝地区におけるコミュニティの生成的拡張の論理については、2012年3月に開催された生涯学習セミナー(長野県阿智村)において発表した。さらに、これらの実践においてキーワードとなっている「場づくり」について、「意味形成空間としての場の発展論理」をテーマとして、ギブソンやベイトソンの概念を踏まえつつ、分析上の課題を明示化する発表を2011年9月の日本社会教育学会(日本女子大学)にて行った。 このような発表を通して、生成コミュニティにおける相同性の形成・発展とそれに伴う外部コミュニティとの交渉過程の変化を読み解くことが次年度の課題として浮上してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コミュニティ・エンパワメントの基本構造が事例を通して確認れつつある。その結果、モデル構築のための探求ポイントが特定でき、当初の課題であるモデル導出の見通しが高まったため。
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Strategy for Future Research Activity |
三事例に即してコミュニティ・エンパワメントの論理に関する仮説が導出されているか、その検証が今後の課題である。当初は、若者サポートステーションを対象とした質問紙調査により、仮説検証を行うことも想定していたが、外部コミュニティとの交渉過程や相同性の検証は事例を限定した質的調査に基づくほうが有効なデータが得られるため、質問紙調査は限定的な位置付に変更する。
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Research Products
(6 results)