2013 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジアの基礎教育における中途退学の要因に関する実証的研究
Project/Area Number |
22330230
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平川 幸子 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (80314780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 博敏 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10127730)
林原 慎 福山平成大学, 福祉健康学部, 准教授 (10615602)
永田 成文 三重大学, 教育学部, 教授 (40378279)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中途退学 / 発展途上国 / 基礎教育 / 経済社会要因 / 学校要因 / カンボジア |
Research Abstract |
平成25年度は、現地における資料収集の最終年度であった。平成26年2月から3月にかけて、カンボジア農村部の3つの県において現地調査を行った。第一コーホートである平成21年度に第一学年であった児童は、中途退学した児童と転向した児童を除けば調査対象校の第2~4学年に在学していたので、就学状況の把握はこれまでと同様であった。第二コーホートの児童は一部が中学校に進学していたため、追跡調査が困難であったが、何とか現在の就学状況を把握することができた。この過程で、ほとんどすべての児童が、自宅から最も近い地域の公立中学校へと進学していることが明らかになった。 更に、将来の研究への布石として、対象小学校の第4学年の児童を対象に、新しく開発したクメール語と数学のテストを実施した。生徒の学力を測るテストの妥当性を高めるためと、基礎学力の問題点をより具体的に把握するためである。平成21年度と24年度に実施したテストでは、受験した児童の20~30%が0点又はそれに近い点数であり、小学校4年生の基礎学力に大きな問題があることが明らかにされたためである。今回は、クメール語においては、文字レベル、単語レベル、単文レベル及び文章レベル(WEZOとPIRLSから各一問)と、問題の難易度を全体として下げた上で、各門が何を計るのかを明らかにするテストとした。数学テストにおいても、基礎的な問題を多くし、難易度を全体的に下げるとともに、分野をカバーし、児童の問題が明らかになるよう、改善を行った。 これまでのデータに基づく研究成果の一部を、平成26年3月にカナダ・トロント市で行われたCIES(全米比較教育・国際教育学会)において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度(第二年度)の調査データを精査したところ、当初予想しなかった地域による違いが現れた。すなわち、当初は退学率が全国の農村部平均(6~8%)とほぼ同じ郡を選んだにも関わらず、1~2年生と4~5年生の各コーホートにおいてバンテイ・メンチャイ省の対象郡だけに大幅な退学率の増加(11~14%)が見られたことである。これは、平成21年10月から22年1月にかけてカンボジア全土で発生した大規模な洪水の影響が特にこの地域において顕著であったためではないかと考えている。この年のデータをどのように取り扱うか、現在検討中である。 しかし、このことを除けば、他の年度のデータは順調に収集・入力が進んでおり、大きな問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度に当たる平成26年度は、これまで収集したデータを精査し、分析して、国際的な研究誌において公表していきたい。
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Research Products
(6 results)